NECは4日、陸前高田市の小中学校等の公共施設に、IP告知放送システムと既存のネットワークを組み合わせた災害にも強い公共施設間ホットラインシステムを納入し、4月1日から運用を開始したと発表した。

陸前高田市では、東日本大震災時に公衆ネットワーク被災による通信ケーブルの途中断絶や、極度の回線集中により通信が困難となり、避難所となった小中学校等の公共施設と他の公共施設との間の通信に大きな影響があった。

陸前高田市のIP告知放送システム概要

同システムは、既存の固定無線アクセス:FWA(Fixed Wireless Access)ネットワークを活用することで独立型のIP通信網を構築し、災害時でも地域内の公共施設間で確実に電話やFAXを使ったコミュニケーションが行える環境を実現したもの。

特長として、音声と文書のやり取りを同時にできる公共施設間の電話/FAX機能、沿岸地域の小中学校等への一斉放送、及び、特定の学校向けのグループ放送が可能な音声告知放送、教育委員会からの放送に対して、応答があるまで自動的に繰り返し放送ができる応答確認機能といった機能を有する。

また、災害時に加え、平常時には小中学校間の業務連絡網としてランニングコストがかからない内線感覚での活用や、教育委員会から各小中学校への一斉連絡などにも有効活用できる。

全国の自治体では、東日本大震災の経験から、災害時に最も重要となる「情報」の伝達・共有手段の強化・再構築に取り組んでいる。

特に学校などの公共施設は、児童・生徒、教員、職員の安全確保のみならず、災害時の地域住民の防災拠点・避難所としての役割も担うため、強固な情報通信インフラの整備が求められている。

NECは、今後も高度な無線技術や防災情報システムなどのノウハウを活かしながら、独立型のIP通信網として本システムの利活用を推進していく。