PMC-Sierraは4月1日、都内で会見を開き、ビッグデータのニーズに応える光ネットワーク仮想化を実現する100G対応OTN(Optical Transport Network)プロセッサ「DIGI 120G」の説明を行った。

スマートフォン/タブレットなどの通信機器の増加、クラウドやビッグデータなどの活用により、さらなる通信速度と帯域の向上が求められており、光ファイバを用いた基幹ネットワークの100G化、ならびにさらなる高速化が求められるようになってきている。

そうした中、ネットワーク機器としてはサーバやストレージ製品を中心に仮想化による統合が進められているが、最近、ネットワークそのものの仮想化が進みつつある。

ネットワークの仮想化は、OTNによるスイッチングとフレキシブルなチャネル割り当てにより、光伝送帯域幅の仮想化を実現することでなされる。具体的には帯域を共有可能なリソースとして活用することで、帯域幅の動的配分により効率的な共有が可能になるほか、クライアントと周波数帯域を分離したり、サービス提供の自動化、光伝送ネットワークの完全なメッシュ化などにより実現される。

OTNスイッチングによる仮想ネットワークの概要と100G光伝送プラットフォームの基本要件

同社が2009年に量産出荷を開始したOTN対応製品の第1世代品は都市間通信網向けに提供され、第2世代品は2012年に量産出荷を開始し、パケット通信向けに提供されている。そして、今回発表されたメトロネットワーク向けとなる40nmプロセス採用の第3世代製品は、1Gから100Gまでの多重転送ニーズ「ODUflex」に対応したOTNプロセッサで、1チップで10G/40G/100Gのトランスポート、アグリゲーション、スイッチングカードに対応することが可能で、伝送速度120Gをフルカバーでき、12×10G、3×40G、1×100Gなど、従来、個々別々に必要としていたソリューションを1チップで実現することが可能となっているほか、10G、40G、100Gそれぞれの伝送・アグリゲーション・スイッチング機能を搭載しており、共通したハード/ソフトウェアを用いて、10種類以上の製品設計に展開することが可能となっている。

従来、高速化すると距離が稼げないという課題があった。こうした問題に対し、同製品では10Gと同等の距離を実現するためにコヒーレントDSP技術を採用することで、この距離の問題を解決しており、同製品はそうした動きに合わせて開発されたという。「我々のDIGI 120を用いることで、従来マルチチップを用いて2本の光ファイバが必要となっていたOTNとパケットの処理をスイッチング処理により1本の光ファイバで処理することが可能になる」(PMC-Sierra 通信デバイス事業部マーケティング・アプリケーション部 本部長のBabak Samimi氏)とする。

Net Touch Liteの操作画面。使いやすいインタフェースも魅力的

「今まで10G、40Gの高密度化を手掛けてきたが、今回、1Gから100Gまで1チップで対応できる製品を提供できたことこそが、OTNこそがビッグデータ時代に向けた光ネットワークに対するPMCの回答となる」とのことで、今回の製品投入により、今後、ネットワークのすべての領域においてOTNの普及がますます加速していくことが期待されると説明しており、バックボーンからアクセス網まで全ネットワークを自社のOTN製品がカバーすることで、より高速かつ高効率なネットワーク活用が可能になるとする。

ラインカードやマックスポンダ、トランスポンダなどのソリューションを1チップで共通のハード/ソフトを活用して実現が可能となる

なお同製品はサンプル出荷を開始しており、基本的にラインカードやマックスポンダベンダに向けて提供される予定。

同社のソリューションを活用するとOTNがバックボーンからエンドユーザーのアクセス網まですべてのネットワークを安価でカバーすることが可能になるというのが同社の主張するところ