古野電気は3月29日、米国のGPS測位衛星に加えて、日本の準天頂衛星システム(QZSS、初号機「みちびき」)や欧州、ロシアの全地球航法衛星システムを同時受信できる車載対応のマルチGNSS(Global Navigation Satellite System)受信LSIチップ「eRideOPUS 6/7」と、同製品を搭載したモジュール4機種を発表した。
「eRideOPUS 6/7」は、米国のGPS測位衛星はもとより、日本の準天頂衛星システム、静止衛星による位置補正システム「SBAS」、欧州連合(EU)が構築中の「Galileo」の衛星電波を同時に受信する車載用1チップLSI。国内では、GPSと準天頂衛星「みちびき」を受信することで測位率を改善できる他、GPS衛星(運用31機)と「GLONASS」衛星(同24機)を同時受信することが可能であり、この結果、従来の高い測位成功率を維持したままで、特に都市部での位置精度を向上させている。「eRideOPUS 7」はロシアの「GLONASS」にも対応する。
同製品は、アンチ・ジャミング機能(妨害波対策)や耐マルチパス機能(反射波対策)を搭載し、ノイズ除去性能を強化している。従来機種の「eRideOPUS 5」のホットスタート1秒以下、アシストGPS対応、セルフエフェメリス機能といった高速測位性能、および従来比2倍となる10Hz測位、1秒間に10回測位といった高レート測位、車載アプリケーションに要求されるデッドレコニング(自律航法)機能として、ジャイロ+車速パルス、ジャイロ+加速度センサ、CAN(四輪車輪速データ)に対応し、トンネルなど電波が届かない場所でも高精度の測位を実現している。
なお、5月中旬からサンプル出荷を開始し、8月以降、カーナビゲーションシステムやeCallシステムをはじめとする国内外の車載アプリケーション向けに「eRideOPUS 6/7」、および同チップを搭載した小型GNSS受信モジュール「GN-86F/87F」(86は「eRideOPUS 6」、87は「eRideOPUS 7」を搭載)、自律航法GNSS受信モジュール「GV-86/87」の販売を開始する。