MathWorksは、MATLABおよびSimulinkの新版となる「リリース2013a(R2013a)」にて、無線通信とレーダーの設計を支援する機能として「Phased Array System Toolbox」と「SimRF」を追加したことを発表した。

Phased Array System Toolboxは、偏波、アレイ摂動、広帯域アレイの新機能を使用して、エンドツーエンドのフェーズド・アレイ・システムのモデル化や、取得したレーダーデータの処理を行うことができる。主な新機能は以下のとおり。

  • モノスタティックおよびマルチスタティックのレーダーシステムのモデル化。レーダーシステムの最大レンジ、ピーク電力およびSNRの予測を支援する、ポイントターゲット、自由空間伝搬、地表面クラッターおよび帯域妨害電波などを搭載
  • 線形、平面、等角のセンサアレイのビームパターンを解析するための、任意の形状をもつセンサアレイとサブアレイのモデル化
  • アレイとターゲットの偏波とプラットフォームの動きの指定
  • GPUサポートによるクラッターのモデル化の高速化

また、一方のSimRFは新たな回路「エンベロープソルバー」を追加し、シミュレーションとモデルの読み込み時間を高速化したほか、システムレベルでRFフロントエンドのシミュレーションを実行するためのコンポーネントのライブラリの拡張が図られており、レーダーや通信システムの設計において、以前より複雑な状況をより高い精度とパフォーマンスでモデル化できるようになると同社では説明している。主な新機能は以下のとおり。

  • 任意のアーキテクチャに対する複数の搬送周波数モデルの回路エンベロープシミュレーションの高速化。単一搬送周波数のカスケードされたシステムを対象とする同等のベースバンド技術と組み合わせることで、システムレベルでのRFモデル化とシミュレーションが可能になる
  • シミュレーションの起動時間を短縮
  • 無限数のシミュレーション周波数や基本波の自動選択など、高度な構成ブロックにより回路エンベロープのシミュレーションのセットアップを容易に行うことが可能になった
  • 能動部品と受動部品(アンプ、ミキサ、LC ラダー、トランスフォーマー、ノイズ)のための新しいモデルと、Simscape言語を使用したカスタムのSimRFモデルの作成

なお、SimRFとPhased Array System Toolboxの最新バージョンを含むR2013aはすぐに提供を開始しているという。