会社を辞めた人を再雇用する。もしいい人材はいないかと探していて、一度辞めた社員はよくないという固定観念があるのなら変えたようがよさそうだ。"出戻り"を積極活用すべきという記事が、OpenForumに掲載されている(原題 : Should You Rehire Former Employees?」)。採用からみて、投資対効果が高いというのがその理由だが、もう少し詳しくみてみよう。
全く新しい人と会社を一度辞めた人、2人の候補を比べてみよう。まず会社をどの程度理解しているのか。後者に軍配が挙がる。業務、社員、社風も知っており、辞めた後の空白期間が長かったとしても取り戻すのに要する時間は、全く新しい人よりも早いはずだ。
次に、会社が候補者をどのぐらい知っているのか。こちらも後者に軍配が挙がる。一度同じ目標の下で働いたことがあるのだ。長所も短所も含めて、どのような人物なのか、どんなことが得意なのかなどをよく知っているはずだ。
一方で、全く新しい人の場合、一見できる人に見えるかもしれないが見かけ通りという保証はない。鑑識眼によほどの自信がある採用担当なら別だが、これまでの雇用経験からどんな人もなんらかの"驚き"があったはず。リスクが大きいのはどちらか、冷静に考えるべきだ。さらには、スキルと言う点では、一度会社を辞めた人はその後別の企業に勤務していた間に新しいスキル、知識、考え方を身につけている可能性もある。
記事によると、あるリクルーターは「従業員1人あたりのリターンが最も高いのは一度会社を辞めた人」と出戻りの再雇用を推奨している。「全く新しい人を外部から雇う場合と比較すると、コストは1/3~2/3でおさまる」とこのリクルーターはコメントしている。生産性という点では、概して出戻り組は全く新しい新参者と比べて短い間に生産性が高くなるという。
一度辞めた社員の再雇用は、別のメリットも期待できるという。たとえば、他社がよくみえて転職したが自社に戻ってきたような場合、"現実"がわかりさらに貢献度が高くなる可能性があるし、他の社員の保留率にも良い影響を与えるかもしれないという。
もちろん、会社側が解雇した社員、モラルや生産性があまりにも低かった、他の社員とうまくやれなかった、など雇う理由が見つからない場合は自社をよく知る社員であっても再雇用を検討する必要はないだろう。ただ、一度出て行ったのだから……といった感情や固定観念が原因で再雇用をためらうのなら、素直にメリットを評価すべき、といえそうだ。