六本木ヒルズなど六本木の街一帯を舞台にした、一夜限りのアートイベント「六本木アートナイト」のオープンニングセレモニーが23日に開催された。
このイベントは、六本木ヒルズ、国立新美術館、東京ミッドタウン、そして六本木交差点近辺の商店街エリアを中心に、アート作品の展示や音楽・映像・ライブパフォーマンスなどを展開するもの。4度目の開催となる今回は、初めて「アーティスティックディレクター」というポジションを用意し、アーティスト・日比野克彦氏が就任。同氏のディレクションにより、参加アーティスト100名を超える大型イベントが「一夜限りのひとつのアート作品」として完成した。
日の入りと共にアートナイト"コアタイム"のスタート
同イベントでは、23日の日没17時55分から24日の日の出を迎える5時39分までを"コアタイム"とし、数多くの展示やパフォーマンスが行われた。メイン会場となる六本木ヒルズアリーナでは、コアタイムの開始に合わせてキックオフセレモニーを開催。はじめに、六本木アートナイト実行委員会を代表し、南條史生森美術館長が開催趣旨を述べたほか、主催者を代表して安藤立美東京都副知事、武井雅昭港区長があいさつを行なった。
南條氏は、「六本木アートナイトは今回が4回目。東京のアートの中心と言える六本木を飾る、象徴的なイベントに育ちました」と振り返りつつ、初の試みである"アーティスティックディレクター"については、これまでに数多くのアートイベントを手がけてきた日比野氏が適任であると説明。「これまでの中でも最も盛り上がることを期待したい」と締めくくった。一方、安藤立美東京都副知事は、「このイベントは東京文化発信プロジェクトの一環で、昨年は70万人が来場しました。日没から日の出まで、六本木がアートの海になるのを楽しんでいただきたい」とコメントした。
陸前高田から来た灯りが六本木の海を照らす
"アーティスティックディレクター"である日比野克彦氏は今回、開催テーマである「TRIP→今日が明日になるのを目撃せよ。」を象徴する"灯台"をアリーナ会場に製作。
同イベントでは必ずシンボリックなモニュメントが設置されると語る日比野氏は、この作品について、陸前高田で津波の塩害により立ち枯れした杉の木を用いた特別な炭で光を放っていることを紹介。これには、この灯りで六本木を温め、東北に思いを繋げようという意図があるのだという。さらに、灯台の周りには、陸前高田で行われる七夕の船飾りをヒントにし、アーティストや建築家らが作り上げた「船」をモチーフにした作品を展開した。
最後に同氏は、「アートは時間を飛び越えて色々な所に僕らを誘(いざな)ってくれる。けれども、人間がどんなに想像力を働かせても、日の出日の入りの時間は必ずやってきます。そんな両方の時間の「移動」をしっかり受け止めて、トリップしていこうというのが今回のテーマ『TRIP→今日が明日になるのを目撃せよ。』です」と、イベントのテーマを解説した。
"港"区六本木の灯台を道しるべにするアーティストたちの船には、彼らの想像力という宝物が積まれている。来場者はその海を巡り、街中で何かが変わって行く時間を体験し、暗がりの中でそれを共有する。17時55分、日の入り時間に合わせて会場全体でカウントダウン。「3、2、1、出港!」のかけ声で、イベントの開始が高らかに宣言された。
次回のレポートでは、1晩限りのアートの祭典「六本木アートナイト」で実際にどのような作品が展示されたのかを紹介していく予定だ。