東芝は3月22日、車載機器やデジタルプロダクツなどの組込機器向けメニーコアLSIに最適化した低消費電力OSを開発したと発表した。

近年、組込機器でも複数のプロセッサコアを搭載したメニーコアLSIの利用が進みつつあるが、コア数の増加に伴い消費電力も増加する傾向にあり、バッテリの長時間駆動に対する要望や環境に対する配慮から低消費電力システムの実現が求められるようになっている。

消費電力を抑える方法としては、OSが負荷にもとづき各コアの電源をオン・オフするという手法が考えられるが、従来技術では、過去の負荷情報から近い将来の負荷を推測しそれに基づいて電源制御を行っており、予測精度が高くないため負荷の変動に追従できず、余計な電力を消費してしまうという課題があった。

今回開発されたメニーコアOSでは、並列ソフトウェアの実行情報をOSが利用して電源制御を行うことが特徴となっている。同OS上で動作する並列プログラムはスレッド単位で動作するが、並列ソフトが正しく動作するためにはスレッドの実行順序を規定する必要があり、その規定手法として独自の「依存数」と呼ぶ手法を用いることで実行順序を規定。この依存数を用いることにより正確な負荷予測を行うことができるようになり、高い精度の予測に基づく形で各コアの電源を制御することが可能となり、結果として消費電力を抑えることが可能になるという。

実際に同OSを同社のメニーコアLSI上で動作させ、画素数1920×1080から3840×2160への超解像変換処理を行ったところ、性能劣化を抑えつつ24.6%の電力削減を実現したという。

なお同社では、組込用途における高性能な画像処理、画像認識などのアプリケーションを低消費電力で実現するために、同OS技術の活用を進めていく予定としている。