日本マイクロソフトは3月21日、同社のビッグデータ戦略とソリューションを説明するビッグデータ戦略記者説明会を開催。この中で同社は、4月末から5月にかけて、ビッグデータ向けの新たなアプライアンス製品である「SQL Server 2012 Parallels Data Warehouse」を提供予定であることを明らかにした。
日本マイクロソフト エンタープライズソリューション 営業本部 本部長 藤井一弘氏は、最近のビックデータのニーズについて、「お客様は、売上拡大、競争力強化に向けた、データマイニングをやりたいと思っている。特に流通、小売り業では、レシートデータを次の販売につなげていくことに関心が高い。センサーデータの活用による効率化においても、通信設備の稼働データを収集し、安定稼働や予防保守につなげたいというニーズもある。ビッグデータは、社内の顧客データなどど、気象情報、SNSなどの外部データをどう組み合わせるかがポイントだが、自社データが最新データにアップデートされていない、データ分析できる人材の育成、現場のビジネスを推進する人にデータを使ってもらえないという課題がある」と指摘。
そして、国内企業におけるビッグデータ活用の成功ポイントについて、全社員のデータサイエンティスト化を進め、専門家ではなく、だれでもデータ分析可能にすること、ビジネス現場でデータ活用すること、そして大量データを高速分析することの3点を挙げた。
日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 梅田成二氏は、全社員データサイエンティスト化を実現するステップとして、(1)現場社員によるビジネスシーンでの実活用、(2)誰もがデータを活用できる環境の整備、(3)大量データを高速処理する基盤の整備の3ステップ紹介した。
梅田氏は、現場社員によるビジネスシーンでの実活用のおける課題としては、利用者のスキル不足と、月次や四半期といった、利用データの鮮度が古い点を指摘。
「データ活用ツールを社員が方々が使いこなせていない。宝の持ち腐れになっっている。データの鮮度については、処理速度に問題があり、日次の処理ができないためだ」と語った。
これらの課題を解決するためのソリューションとして、同社が5月から提供するのが「SQL Server 2012 Parallels Data Warehouse」(PDW)だ。PDWの特徴は、Hadoopと連携できる点で、RDBに格納された構造化データだけでなく、Hadoop上のSNSやセンサーデータなど非構造データも活用し、データの分析を可能とするMPP(Massively Parallel Processing:超並立処理)型のHybrid DWHとなっている。PDWでは、Hadoop分散ファイルシステムであるHDFS上のデータを仮想的な表として定義可能で、クライアントからT-SQLで操作できる。
PDWはスケールアウト型で、15TBから1.2PBまでのデータ量に対応し、今後10PBまで対応予定だという。なお、対応ハードウェアは、デルとHPが提供予定だ。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 アプリケーションプラットフォーム製品部 部長 斉藤泰行氏は、「今後はHadoopベンダーとの協業を模索していく。他社との最大の差別化ポイントは、SQL Serveの得意分野であるWebブラウザやExcelによる分析で、現場社員がデータを活用できる点だ」と強調した。