Texas Instruments(TI)は、「インターリーブ型PFC(力率)キット」および「デジタル電源演習キット」を発表した。

これら2種類の開発キットは、デジタル電源の設計をさらに簡素化するもので、同社のマイコン「C2000」を搭載したインターリーブ型PFCキットは、高い効率、PFCおよびTHD(全高調波歪み)性能を提供し、高度な電力計測機能、AC(交流)ラインに対応する。一方のデジタル電源演習キットは、アナログ電源から各種のデジタルモードの電源への容易な移行を求める電源技術者向けに、この種の製品としては初めて、完備されたトレーニング資料の他、高い堅牢性と、低電圧で安全なトレーニング環境を提供する。

これらのデジタル電源開発キットは、アンプ、絶縁素子、二次側電源用デバイス、リニアレギュレータおよびMOSFETドライバをはじめとした、数々の補完的なアナログ部品を搭載している。これらの部品と、デジタル電源システム内でマイコン「C2000」を組み合わせて動作検証が可能で、複数の設計要件を満たしたシステム・キットを提供する。

インターリーブ型PFCキットは、産業用および電力変換プラットフォーム向けに、高い性能を提供するデジタル駆動のPFCプラットフォームで、交流動作電圧120/220Vから、400Vの直流出力に変換し、500Wまでの電力に対応する。また、Piccoloマイコン「C2000」により、PFC、THDおよび高効率化を追求し、リアルタイムに高度なACラインの電源計測機能を「C2000」を1個搭載したキットで実現しており、これにより、外付け部品を不要にしている。さらに、さまざまなC2000を使用し、PFCアプリケーションを実現できることから、高度な環境における実験が可能になる。

同キットには、高度なPFC制御を実現するための同社のソフトウェアおよび回路が実装され、また種々の計測機能を実現するモジュール方式のソフトウェアも付属している。これらのソフトウェアライブラリを使うことで、Piccoloマイコン製品に内蔵されたCLA(制御補償器アクセラレータ)が使いやすくなり、「C2000」のメインCPUをその処理から解放することができるため、処理性能を倍増すると同時に、さまざまなシステムホスト機能が実現できるという。

一方のデジタル電源演習キットは、低電圧の作業台におけるトレーニング環境で、初心者にも、複数のデジタル電源設計の体験を提供する。同キットの基板は、PCへの故障防止用としてインタフェースの絶縁化に対応している。また、同社の個人向けトレーニングセッションをベースとした、デジタル電源の基礎から始まり、高度な設計への移行まで役立つ、マイペースで学習ができるトレーニングモジュールを提供するほか、電圧モード制御、平均電流モード制御、およびピーク電流モード制御などを有する。また、デジタルドメインでの制御ループ形成、および効率向上のための微調整機能も提供する。加えて、アナログおよびCLA(制御補償器アクセラレータ)をデバイス内部に搭載していることから、CLAとソフトウェアを活用してデジタル設計の処理能力を倍増することができる。

なお、これら2種類のデジタル電源開発キットは、同社の販売特約店からすでに供給が開始されている。価格は、インターリーブ型PFCキットが299ドルで、デジタル電源演習キットが399ドル。