顧客を怒らせてしまった……そんな時、あなたの会社はどうしているだろうか? "接点となる窓口が対応しておわり"という場合、対策を考え直した方がよいかもしれない。サンダーバード国際経営大学院で准教授を務めるStefan Michel博士は、「根底にある問題を解決していない」とする。では、いったいどう対応すればよいのか?
Michel博士は、「顧客の苦情を最大限に活用する(原題 : Making the Most of Customer Complaints)」という記事をWall Street Journalに寄稿、顧客の苦情対応法をアドバイスしている。
多くの企業が、「サービスに障害があった」「製品が動かない」といった顧客の苦情処理を、直接やりとりするカスタマーサポートに任せてしまっている。カスタマーサポートが謝罪や補償を行い、顧客の不満が収まれば万事よし……といきたいところだが、それではよくない。
「このアプローチでは根底にある問題に対応できない」とMichel博士。問題は、窓口となっている顧客サービス担当者だけが対応している点にあるという。
そこでMichel博士が提唱するのが、問題に関係するすべてのステークホルダーによる解決だ。つまり、顧客自身、マネージャー、そして前面にたつカスタマーサポート担当者の3者が全員で解決していくというものだ。
問題解決を望む顧客、顧客と直接やりとりする担当者、解決のプロセスに責任を持つマネージャー、とそれぞれ立場が異なるため、3者間で緊張があるのは当然だとMichel博士。
特にマネージャーについては、「いち早く問題を解決して緊張から解放されたい」傾向があるという。だが、それはよくないと釘を刺す。「本当の解決のためには、3者を密にまとめる作業が不可欠だ」という。
具体的には、顧客からこれまでより多くの情報を収集して社内で共有する、そして問題発見と修正が進めやすくなるような構造に作り変えたり、ベストプラクティスを持つといったことが本当の解決だという。そうした上で、以下の戦略を提案している。
- 自社のサービス提供について、その方法、なぜ提供するのかなどの"サービスロジック"を作る(顧客はサービスを通じて何を得られるのか/その理由?、サービスをどのように作るのか?、スタッフはそのサービスをどのように提供するのか/その理由)。
- カスタマーサポート担当の成功を評価し、社内にちゃんと伝える
- カスタマーサポート担当者の自由度を高くする
- 情報をできるだけ多く収集し、それを社内で共有する
- スタッフのパフォーマンス査定を意味ある方法で行う
Michel博士らが調査した企業60社のうち、このような3者アプローチをとっている企業はわずか8%にとどまったという。
顧客からどんな苦情がきているのか知らない、顧客の苦情は窓口まかせという企業はぜひとも参考にされたい。