バラクーダネットワークスジャパンは3月15日、日本市場向けの新戦略を発表した。発表会では、昨年12月に日本法人の執行役員社長に就任した林田直樹氏が登壇。1TBまでを無料で提供する日本独自のデータバックアップサービス「バラクーダ・フリークラウドサービス」を開始することも明らかにした。
バラクーダネットワークスジャパン 執行役員社長の林田直樹氏 |
林田氏は冒頭、Barracuda Networksの事業について、「スパムファイアウォールの提供ベンダーという印象が強いかもしれないが、実際は、次世代ファイアウォールやWAF(Web Application Firewall)、Webフィルター、ロードバランサー、SSL VPNのほか、バックアップ、メッセージアーカイブなどのソリューションも提供する統合的なベンダー」と説明。さらに、「従業員数100~2000名程度のミッドマーケットにフォーカスしており、2002年の設立以来、四半期決算で一度も赤字になったことがない珍しい会社」と続けた。
そのBarracuda Networksの日本法人を束ねる林田氏が、国内向けの重点戦略として挙げたのが以下の4点である。
- パートナー戦略 : 既存一次代理店との連携および二次代理店網の充実
- プロダクト戦略 : すべての製品のUIを日本語化・共通化
- サポート戦略 : 製品輸入と着荷試験の実施、およびサポート体制の強化
- 新サービス : バラクーダ・フリークラウドサービスの提供開始
これらのうち、最初のパートナー戦略に関しては、「パートナー戦略というと、多くの外資ベンダーでは『一次代理店の数を増やせ』と指令がくる。しかし、外資ベンダー4社の日本法人社長を務めた私の経験から言うと、それではうまくいかない。一次代理店間で衝突のないようにして安定化を図り、個々のパートナーとの連携を強化することのほうが大切。そのうえで、2次代理店を拡大するなどの施策を行う」と説明した。
また、2つ目のプロダクト戦略については、「すでに大方対応できてはいるが、まずはUIの日本語化を徹底すること。さらに各製品のUIを共通化し、運用/教育の手間を省ける状況を作ることでクロスセルが見込める」とした。
3つ目のサポート戦略に関しては、「マーケティングカンパニーになるのではなく、販売を支援する環境を作る」と述べ、「外資ベンダーの多くは、パートナーに製品を直接送っており、日本法人は流通に関わらない。しかし、バラクーダネットワークスでは、日本法人が輸入して、着荷試験を行ったうえでパートナーへ渡す。これにより、初期不良をゼロにし、パートナーのビジネスをスムーズにしたい」と具体策を示した。
そして、最後のバラクーダ・フリークラウドサービスが今回の目玉施策になる。バラクーダ・フリークラウドサービスは、容量1TB以上の「Barracuda Backup」アプライアンス6モデルのいずれかを購入した顧客に対して、クラウドストレージを最大1TBまで無料で提供するというもの。有料でも提供されている同社クラウドサービスは、1年間1TB使用すると利用料金が63万2500円になる。これが最長5年間無料になるので、最大で316万2500円分が免除される計算だ。
また、同サービスは、サーバ/ストレージを国内に設置しており、「コンプライアンス面や運用管理面も万全」(林田氏)なうえ、ネットワーク面におけるパフォーマンスの懸念も払拭されている。
そのほか、林田氏は他社製品との比較も紹介。最新ファームウェア「Baracuda Backup v5.1」で機能追加された「VMware Liveboot」対応やクラウドバックアップ対応などを「他社製品にはない特徴」として挙げた。