パナソニックは3月15日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「省エネルギー革新技術開発事業」において、京都市のごみ処理施設である東北部クリーンセンターの排熱を利用した熱発電チューブの発電検証試験を開始すると発表した。
熱発電チューブは、熱が伝わりにくい熱電変換材料と、熱が伝わりやすい金属を交互に傾斜して積層した構造により、熱の流れと垂直な方向に電気が流れる現象を利用し、チューブ状に加工した傾斜積層構造体の中にお湯を流すことなどにより、チューブの内側と外側とで温度差をつくり発電するというもの。
これにより、従来利用されずに捨てられていた低温排熱を有効活用することが可能となる。熱発電素子としては、これまで主に研究されてきたπ型の素子構造ではなく、熱電変換材料と金属の傾斜積層構造を採用し、熱流と垂直の方向に電流を取り出すことで、シンプルでコンパクトな構成の熱発電ユニットを作製し、工場の温排水などの低温熱源を利便性良く電気に変換することを可能にしており、これによりエネルギーハーベスティングの実現とともに、低温排熱の有効活用の実現による省エネルギーの推進を目指すと同社ではコメントしている。
今回の検証場所は、京都市東北部クリーンセンター。ごみ焼却で発生した有効活用できていない低温排熱の一部を温水にして熱発電チューブ内に流し込み、施設内で使用している冷却水をチューブの外側に流すことで、チューブの内外に温度差を生じさせ、400W/m3以上の発電量を得ることを目標とした実証試験が行われる。
発電検証用の熱発電ユニットをパナソニックが試作し、クリーンセンターに設置。検証試験で得られたデータから、委託事業で目標とする熱発電チューブの発電能力の検証を行うほか、京都市がクリーンセンターの熱収支データの提供や、検証実験のための工事監理で協力する予定としている。
なお今回の試験では、季節や天候に左右されることなく、24時間継続した発電試験を行うことで、熱発電チューブの発電能力の検証が進められることとなる。期間としては2013年度末まで実施される予定となっている。