富士通研究所(以下、富士通研)と富士通研究開発中心有限公司は3月14日、汎用的な毎秒10ギガビット(Gbps)用の部品で100Gbpsの高速通信を実現する光伝送技術を世界で初めて開発したと発表した。
両社は今回、デジタル信号処理を用いたDMT変復調方式を適用することで、汎用的な10Gbps用の直接変調レーザー部品で1チャネルあたり100Gbpsの伝送を実現した。
DMT変復調方式は、xDSLなどで使用されているDMT変復調方式を、世界で初めて100Gbps超の光通信に適用。DMT技術はデータを多数のサブキャリア(搬送波)に分割し、それぞれのサブキャリアに多値変調を用いることで高速伝送を実現する。各サブキャリアのパワー、多値度の最適化を実現するために、システムを立ち上げる際に光送受信器間で受信状況の確認を行い、送受信器および回線の特性に合わせて各サブキャリアに割り当てるパワーおよび多値度の最適化を実施するアルゴリズムを開発した。
既存汎用部品のすり合わせ技術は、既存の汎用部品を用いて、DMT変復調方式を実現する技術を開発。例えば、特性的に十分な線形性が保てないような部品であっても、あらかじめその特性を把握し補正しながら利用することで線形性があるのと同じように使いこなすことを実現した。
本技術を4チャネル構成の光送受信器に適用することで、次世代データセンターでの適用が期待されている400Gbpsイーサネット用トランシーバの実現が可能となり、汎用的な部品を用いて100Gbpsの高速通信を実現でき、クラウドサービスを支えるデータセンターの処理能力の向上(データ転送の高速化)が期待される。
両社は、今後、実用化に向けて、DMT変復調部の集積化の検討、すり合わせ技術のさらなる改善などを進めていく。