オープンテキストは3月13日、企業における業務の改善とビジネスプロセスの最適化や可視化を図るBPM(ビジネスプロセス管理)ソリューション「OpenText MBPM」の国内リリースを発表した。
オープンテキスト(OpenText)はカナダに本社を置く、エンターンプライズ向けコンテンツ管理ソリューション(ECM)のリーディングカンパニー。114カ国で50000以上の企業、1億以上のユーザーが同社の製品を利用しており、近年は、ECMを含む企業全体のあらゆる情報に関わる「エンタープライズ情報管理(EIM)」を掲げている。国内では、製造業や金融業、政府機関など含め約300社以上の採用実績がある。
OpenText MBPMは、同社として本格的な展開を図るBPM新製品で、企業におけるECMやカスタマエクスペリエンス管理(CEM)そしてBPMを連携した新しい次元のビジネスプロセスを幅広く構築できるとしている。同製品の販売開始は3月25日から。
ECMやCEMなどを包含するオープンテキストのEIMソリューションと統合されたこの「OpenText MBPM」は、コンテンツ中心かプロセス中心かに関わらず、あらゆるタイプのビジネスプロセスに対応する。企業で管理されている膨大な情報や書類を、ビジネスプロセスに効果的かつ安全に取り込み、幅広く業務を改善することができるという。
例えば、同社のデータキャプチャーツールを活用し、紙文書やFAXをOCRで読み取り、必要なデータを自動的にビジネスプロセスに取り込んでルールエンジンに従って処理を動かすことが可能となる。
ビジネスプロセス上で利用される書類やデータは、文書・コンテンツ管理サーバーで保管され、ビジネスプロセスの中から条件に応じて、コンテンツの呼び出し、編集、保管を実行するようになっている。さらに、CEM製品のひとつである帳票・ドキュメント配信ソリューションと連携することで、処理された内容を組み込んで注文請書や申請受付完了報告などを自動的に生成することもできる。
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OpenTextのエンタープライズ情報管理(EIM)は、5つのソリューションからなる。エンタープライズコンテンツ管理(ECM)、ビジネスプロセス管理(BPM)、カスタマーエクスペリエンス管理(CEM)、インフォメーションエクスチェンジ(IM)、ディスカバリだ。
オープンテキスト コーポレーション 技術担当上級副社長 |
2月に東京で、ユーザー向け年次フォーラム「OpenText EIM Days」が開催され、同社 技術担当上級副社長のムヒ・マズーブ (Muhi Majzoub)氏が来日した。日本について「非常に大きなチャンスのあるマーケットと認識しており、我々のEIM製品の価値をもたらすことができる市場」と語る同氏に、同社のソリューション展開を聞いた。
マズーブ氏はまず、「世の中にあるデータのうち、企業のファイアウォールの内側に94%以上ものコンテンツがにあると言われています。書類や電子メールの他にも、たとえばERPシステムの中にあるものや、ファイルサーバやCMSの中にあったりと様々です」とした上で、企業が抱えるこれらのデータの情報管理に対する課題を挙げる。
「まず、企業がどれだけのデータ量を持ち、それをどのように使用するのかというモデリングの課題があります。またコンテンツのセキュリティの課題もあります。これは、ネットワークのセキュリテとは異なるものです。例えば、ウィキリークスやBAEシステムズの例を考えてみてください」と同氏。さらに「ガバナンスや情報リスクの緩和といった課題」も挙げる。
「オープンテキストはこれらの課題を解決するためにEIMというソリューションが重要と考えています。これらの5つのソリューションは、それぞれ繋がりつながりを持っていますが、たとえば一製品だけの利用でも、企業の付加価値をあげる様々な使い方があります」と語る。
同社のEIMソリューションの中核をなすECM(エンタープライズコンテンツ管理)については、「我々のECMは、データの分類やアーカイブを行うだけではありません。ルールを定義して記録管理を行い、(データが不要になったら)セキュアな廃棄を行うレコードマネージメントや、スマートフォンやタブレットにも対応したセキュアなファイル共有「TempoBox」といった製品もあります。たとえば、TempoBoxの大きな強みとして、ある社員が辞める際に、その社員が使っていた端末から企業データをまとめて削除するといったセキュアなワイプ機能もあります」と説明する。
同社のEIMは、オンプレミスでもクラウドでもフレキシブルに提供可能だ。またホスト型での提供にも対応する。ここ数年、注目を集めるクラウドについても2012年7月にeasylinkを買収したほか、企業内SNS「TempoSocial」の提供を進めるなど、企業における"情報マネジメント"を軸としてソリューション展開を進めている。
マズーブ氏は「日本を大きなマーケットと認識しており、我々は日本の要望も聞きながら、ローカルチームと協力して展開を進めています」と語り、日本での導入目標社数は?との質問に、「日本のすべての企業です(All of Them.)」と笑顔で答えた。
企業におけるセキュリティリスクやセキュリティ対策などというと、どうしても外部からの侵入に対する"防御"のイメージが先行してしまう。
しかしながら、2009年の調査ではあるが、社員の60%が会社からなんらかのデータを持ちだしたているというレポートもある。
江戸時代、箱根に代表される関所では「入鉄炮に出女」を掲げていた。もちろん時代も背景も異なるのだが、企業のガバナンスやセキュリティ対策には、入ってくるものだけに注意するのでは十分ではない。悪意の有無、あるいは無意識であれ、内部からのデータ持ち出しへの流出対策が重要だ。
企業の効率化や生産性を高めることももちろん大切だが、このようなセキュリティ対策に目を向ける必要もある。そのような意味でもEIM・ECMというソリューションの重要性はさらに増しているといえる。