経済産業省は12日、愛知県・渥美半島の南南東沖合の海底下約330メートルの地層にある「メタンハイドレート」を分解して天然ガスを取り出す、海洋産出試験に成功したと発表した。海底からのガス採取は世界で初めてという。

メタンハイドレートはメタンと水が低温・高圧の状態で結晶化した物質で、「燃える氷」と呼ばれる。日本の周辺海域には多くの量が存在しているとみられ、将来の天然ガス資源として期待されている。

このため経産省の委託を受けた独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、2001年度から08年度までに「東部南海トラフ海域」(静岡県から和歌山県の沖合にかけた海域)をモデル海域として地震探査・試掘などの調査を実施し、約1.1兆立方メートル(日本のLNG輸入量〈2011年〉の約11年分)のメタンガスに相当する多量のメタンハイドレートが存在していることを確認していた。

海洋産出試験は昨年から準備を進め、今回は1月下旬から今月末までの予定で、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた産出試験作業に取り組んでいた。12日のガス取り出し作業は午前6時前から始まり、海底下層の水をポンプでくみ上げることで地層内圧力を下げた。それにより地層内にあったメタンハイドレートが水とメタンガスに分解された。同9時半ごろにガスを取り出し、同10時ごろには、船尾に設置したバーナーからガス産出を示す炎を確認したという。

産出試験は今月末ごろまで続け、終了後、得られたガス量の集計や実験結果の解析などを行う。経産省は2018年度までに生産技術を確立し、国産燃料としての商業化を目指している。