普段よく話すというあなた、ひょっとすると大切なことが聞こえていないかもしれない。10個の言いたいことのうち、1つしか言わない……そうしてみると見過ごしがちなものが見えてくると、起業家のScott Belsky氏が情報Webサイトの99uで明かしている。
99uの親会社BehanceのCEOを務めるBelsky氏は、ベストセラーのビジネス書「Making Ideas Happen」の筆者でもある起業家。Belsky氏は、職業柄スピーチを行う機会が多い。さらには、旅行が続いたことや風邪をひいたことなどが重なり、一時期声が出にくくなったそうだ。そこで医師と相談し、一週間に話す時間を75%減らすことを試みたという。
話すのを減らして見えてきたものとは何だったのか? さっそく見てみよう。
1. 聞くことと同じぐらい見ることも大切
自分の周囲を理解しようとするとき、誰かの話に耳を傾けるだけでは不十分だとBelsky氏はいう。ボディランゲージやジェスチャーは、その人が本当は何を意味しているのか、意図しているのかを伝える重要なリソースだという。
たとえば、話しながら何かモノを動かす、衣服の乱れを正すといったことに注意してみよう。専門家によると、話し合いなどの席でわれわれが得る情報の半分が視覚的なものだという。
だが、聞く・話すに気を取られてしまい、見逃しているのが現状だ。時には次に何を言おうかを考えるのではなく、目の前に見えているものをしっかり感じ取ってはどうだろうか。
2. 答えではなく質問で打破
話すことを減らした期間中、Belsky氏は疑問や質問が浮かぶことが多くなったのだそうだ。必然的に考える(聞く)ことが増える。
「質問は実際のところ、議論を引っ張っていくのに非常にパワフルな方法だ」とBelsky氏。
この方法は、ハーバード・ビジネス・スクールでも用いられている。教授はテキストではなく事例研究を用いて授業をする。講義の前に学生は事例を読んでおき、講義では冒頭から教授は質問を出す。学生がその質問に答え、それに反論する学生が意見を述べ……こうやって議論になっていくという。教授は途中途中で質問を続けることで議論を導き、講義の95%は学生の議論なのだという。次の社内会議で用いてはいかがだろうか?
3. 自分のペースで
答えを出す・得るのに時間をかけることが、逆にいい結果を生むことがある。スピード重視の現代だからこそ、すぐに解決したい気持ちを抑えて待ってみる。「果報は寝て待て」は英語でも「good things come to those who wait」という慣用句で知られている。
口数が多いことは日本ではあまり自慢にならないが、主張してなんぼ、言わなきゃ損の米国では、さぞかし難しい"実験"だったのではないだろうか。まさに身をもって体験した話となる。
なお、Belsky氏は声の調子が戻った後も、話すのを減らした一週間から得た教訓を活用しているという。