フリーライターとして働きはじめてもう5年以上になる筆者だが、2009年に携帯電話をiPhoneに変えてから劇的に仕事のやり方が変わったと感じている。それまでは携帯電話で原稿を書くなどということは考えられなかったのだが、今ではiPhoneを使い移動中に仕事をすることもしばしばである。
iPhoneで仕事ができるようになった理由のひとつに、豊富なアプリ群の存在が挙げられる。便利なアプリを開発してくれているクリエイターの皆さんには、本当に足を向けて寝られない。本レポートでは、そうした優秀なiPhoneアプリの中を「物書き」の立場から厳選し、あらゆる「モノカキ系クリエイター」にとって便利だと思うものを紹介していく。
何はともあれ外せない、鉄板のクラウドメモサービス「Evernote」のiPhone向けアプリ(無料)。もはやここで語るまでもないが、紹介しないわけにもいかないだろう。ちょっとしたメモはもちろん、ウェブクリップ、画像、音声などあらゆるファイルをクラウドで同期しておくことで、いつでもどこでも自分の欲しい情報にアクセスできるのは本当に便利だ。
たとえば、家で書いていた原稿の続きを移動中に書きたいとか、あるいは移動中に書いていた原稿の続きを別の端末で書きたい場合、今までは原稿本文をコピーして、メールにコピペして送信して……という面倒くさい手順を踏まなければならなかったが、Evernoteならそうしたステップなしに同期してくれる。サードパーティー製のアプリも豊富にリリースされており、自分好みに作業環境を整えられるのもありがたい。
iPhoneでの原稿を書く際にメインにしているアプリがこの「Note & Share」(350円/無料のLite版あり)。シンプルな書き心地と軽快な動作が気に入って使っている。
ポイントは、先ほど挙げたEvernoteにワンタップで同期できる連携機能があることだ。また、それ以外にもTwitterやFacebook、Tumblrといった各種サービスにも連携できる。原稿を書くためのアプリとして必須なのは「現在の文字数がカウントできること」なのだが、本アプリはそこもしっかりと画面上に表示してくれていて抜かりがない。原稿執筆用のアプリは飽きたら次々乗り換えることにしているのだが、今のところは「Note & Share」で十分間に合っている。
「ATOK Pad」(1,200円)は、「Note & Share」を使いはじめるまでメインで使っていたアプリ。何が悪いというわけではないので、「Note & Share」に飽きたらまた戻る可能性は十分ある。
やはりすばらしいのは、ATOKならではの変換の優秀さだろう。正直、iOSの日本語変換はギリギリ我慢できるかな……くらいのレベルなので、人によっては耐えられないかもしれない。そういう人にこそATOK Padを試してみてほしい。
ちなみに、ATOK Padはアプリとしてはかなり高額の部類に入るが、それに見合うだけの機能は備えている。定型文・単語登録の機能を搭載し、PCやMacのATOKとの登録単語の連携も可能となっている。また、メールやTwitter、Evernoteに加えてエキサイト英語翻訳などとも連携可能だ。それだけでなく、通常とは異なる入力方法である「リボルバータッチ」ならびに「ダブルトリガー」を使用できるなど、メモアプリとしておよそ考えうるすべての機能が盛り込まれているといっても過言ではない決定版である。一般的にはここまでの高機能は必要ないかもしれないが、もしiPhoneで文章を大量に書く必要があるなら、快適な執筆環境構築のためにATOK Padを検討する価値は十分にあるだろう。
その名の通り、ブラウザとテキストエディタをひとつの画面に同時に表示するアプリが「ブラウザノート」(85円)だ。文章を書いている途中で調べ物をしたり、辞書サイトを使ったりする際にいちいちアプリを切り替えなくていいのは非常に便利だ。iPhone5の大きな画面なら、その力を最大限発揮できるだろう。
また、ランチャー機能によるアプリとサイト連携も非常に豊富で、大辞林やwithever、Google検索、英語辞書検索(アルク)、各種ニュースサイトなどをデフォルトでサポートしている。また、任意のURLスキームを追加できるなどカスタマイズ性も高く、使い込むほどに使用者になじんでくるエディタアプリとなっている。他のアプリをメインにしている人も、ブラウザを見ながら書き物をする場合はこちらを使ってみてはいかがだろうか。
筆者はあまりアプリのUIのデザインは気にしない方だが、もちろんきれいにデザインされているに越したことはない。ひたすらシンプルなアプリもいいが、たまに物足りなくなることもあるからだ。
そんなときは「手帳ノート - PardNote」がオススメだ。21種類のテーマと18種類の用紙から378パターンの着替えバリエーションを実現したエディタアプリで、機能性を損なわずにデザイン性を高めたインタフェースが秀逸である。メモした内容は「ノートブック」にカテゴリ分けして整理しておけるので、一時的な執筆だけでなくアプリ内で原稿管理まで行いたい人にもオススメできる。もちろんTwitter、Facebook、Evernote連携も搭載。また、ATOK Padに対応しているのもありがたい。紙の手帳の雰囲気を味わいたい気分のときはこれを使うことにしよう。