ニュースフィードの刷新、広告/カバー画像のテキスト20%以下ルール、グラフ検索。ここ最近のFacebookの大きなアップデート(仕様変更)3点をまとめて振り返り、今後の企業マーケティング活用への影響を考えます。
こんにちは、SMM Labの小川です。
先週、Facebookユーザーが最も長い時間を過ごす「ニュースフィード」に大きな刷新が入ることが発表されました。それ以外にも、広告/カバー画像のテキスト20%以下ルールや、グラフ検索等、ここ最近になっていくつかの新たなニュースが発表されています。
これらのアップデートは、Facebookのユーザー体験をどのように変えるのでしょうか?また、Facebookでマーケティングをしている企業にとっては、どのような影響があるのでしょうか。
今回は、最近の大きなアップデート3つに関するトピックをまとめてご紹介、今後企業がFacebookをマーケティングに活用するにあたって考慮しておくべきポイントについて、考えてみたいと思います。
1)ニュースフィード刷新
3月7日(現地時間)、Facebookはニュースフィードを大きく刷新することを発表しました。
Facebook社の公式発表では今回の刷新の目的を「reduce clutter and focus more on stories from the people you care about(ニュースフィードの散らかりを軽減し、よりあなたが関心のある人々のストーリーにフォーカスされること)」としています。
具体的な刷新ポイントは以下3点です。
1.ニュースフィードがよりビジュアルで、カラフルなものに
写真やニュース記事、地図、イベントの投稿が、今までよりもより大きく、美しく表示されるようになります。
友達になったとき、また新しくページにいいね!したときに、カバー画像と共に表示されるようになります。
これは、オーガニックの表示に対してだけでなく、以下例のように、スポンサー記事広告(●●さんが○○というページにいいね!と言っています)に対しても適用されるとのことです。今後は、今まで以上に、ブランドのストーリーを体現する「カバー画像」のデザイン性が重要になると言えます。
友達が投稿をシェアした時に、その友達のアイコンが投稿の左側に表示されるようになります。そのアイコンをクリックすることで、友達がどんなコメントをつけてシェアしたのかも確認できます。
詳細は不明ですが、いいね!しているページに関し、以下のような新しい投稿タイプが表示されるようにもなるようです。
これら変更点を見ると、Facebookのニュースフィードが、よりユーザーに対してグラフィカルで、リッチなものとなっていることが分かります。これにより、ユーザーにとってニュースフィードがより快適な場所となり、さらに多くの時間を過ごしてもらうことを目指しているのでしょう。
企業(Facebookページ)も、この方針に沿い、よりリッチな体験ができるコンテンツ、ストーリー性のある投稿、双方向のコミュニケーションが発生する投げかけを追求する姿勢が求められていると言えます。
2.フィードの分類が可能に
現在のニュースフィードに加え、以下のように分類されたフィードを閲覧できるようになります。Facebook社は、これにより、ニュースフィードがより「パーソナライズされた新聞」のように機能するようになるとしています。
-All Friends:友達がシェアしたもの全てを表示
-Photos:友達、及びいいね!しているページからの「写真/画像」投稿のみ表示
-Music:聞いている音楽に関する投稿のみ表示
-Following:いいね!しているページ、およびフォローしている人(旧フィード購読)の投稿の全てを表示
上記の「Following」は、いいね!しているページの投稿全てを表示するものですので、ユーザーがこのフィードを閲覧することで、企業は今までなかなかリーチできなかったファンにもリーチできる可能性が高まると言えます。一方で、多くのユーザーが「All Friends」を選択するとなると、ページの存在感が一気に薄まってしまうことを懸念する声も上がっています。
ある海外メディアでは、この「フィード分類機能」の導入を、「今まで、ユーザーのニュースフィード体験はFacebook社の手(アルゴリズム)に委ねられてきたが、今後はそれがユーザー自身のものになることを意味する」としています。
今回のフィード分類機能が、企業マーケティングにとってどのように作用するか、注目しておく必要があると言えるでしょう。
3.PC/モバイル/タブレットからの見え方(デザイン)を統一
今まではそれぞれに見え方が異なっていましたが、どのデバイスからアクセスしても、同じデザインのニュースフィードが表示されるようになります。
メニューアイコンは、左側のバーに集約されます。
これらニュースフィードの刷新は、徐々に導入されていくようです。下記のURLよりβ版の登録ができますので、試してみてください。
・Facebookニュースフィード
https://www.facebook.com/about/newsfeed
<参考情報>
・A New Look for News Feed
http://newsroom.fb.com/News/581/A-New-Look-for-News-Feed
・How the New News Feed Design Improves Content Discovery
https://www.facebook.com/notes/facebook-journalists/how-the-new-news-feed-design-improves-content-discovery/571743776170974
2)ニュースフィード内広告・カバー画像 テキスト20%以下ルール追加
1月半ばにFacebook広告に関するガイドラインが更新され、ニュースフィード内に表示される広告およびスポンサー記事については、テキストの量が全体の20%を超える画像を利用することができなくなりました。
<参考情報>
・Facebook広告ガイドライン(Ⅲ-Dが該当項目)
https://www.facebook.com/ad_guidelines.php
・Facebookヘルプセンター 画像に関するガイドライン
https://www.facebook.com/help/250509391644213
また、タイムラインの顔となる「カバー画像」についても、同じく”画像に配置されているテキスト量が登録画像全体の20%以内でなければならない”というルールが追加されます。
ここでいう”テキスト”には、商品画像(例えば飲料のパッケージに配置されたロゴなど)は含まれないと言われていますが、
・キャッチコピー
・商品に関わらないコーポレートマーク
など、”文字”を使用したデザインを施したものが含まれるとのことです。
このルールの追加からも、Facebookがニュースフィードを、「よりユーザーにとって快適なものにしたい」という意図が読み取れます。ここ最近のFacebook社の広告メニューの強化により、ニュースフィードが従来より「広告的なもの」で埋められる割合が増えたことへの懸念もあったのでしょう。
ここでも企業は、ニュースフィード内でよりユーザーにエンゲージされ、受け入れられる「質の高いコンテンツ作成」を求められていると言えます。
3)グラフ検索の導入
Facebookが、「ニュースフィード、タイムラインと並ぶ第三の柱」として、今年1月に今後の提供開始を発表したのが「グラフ検索」です。このグラフ検索とは、今まで行ったことがある場所や共通の趣味・関心などの切り口から友達を探したり、また逆に友達がお勧めしている情報をもとに、画像や場所、趣味などの情報を検索することができる機能です。
Facebookのニュースルームには、以下のような具体例が挙げられています。
・Kevin Baconを好きと言っている友達
・NewYork Timesの写真
・自分の友達が行ったことのあるスキー場
・自分が好きな映画を好きと言っている友達がお勧めしている映画
<参考情報>
・Facebook グラフ検索
https://www.facebook.com/about/graphsearch
・Graph Search: Some Favorite Searches
http://newsroom.fb.com/News/577/Graph-Search-Some-Favorite-Searches
このグラフ検索も、ユーザーにとってのFacebookの使い心地、使い勝手をよくする機能であると言えます。また、企業にとっては、よりユーザーに「お勧めされる」「いいね!される」情報であることにより、グラフ検索を通してさらにその先の友達にリーチできる可能性が高まることが分かります。
4)Facebookが目指す方向性と企業マーケティング活動への影響
以上、今年に入ってからのFacebookの大きな3つのアップデートは、全て「ユーザー体験を向上させる目的」ことが共通点であることがお分かりでしょう。以前からFacebook社が、マーケティングに「昔の商店のような企業とユーザーの会話を取り戻したい」と表現しているように、今後も、企業はより一層、ユーザー体験を向上させ、エンゲージメントを深めるような体験の提供が求められていると言えます。
今までの「企業側の言いたいことをいう」広告スタイルとは異なるスタイルに戸惑っている企業担当者も多いと思いますが、企業が「ユーザーが求めているものを提供する」「ユーザーに伝わる表現方法を考える」という、本来の姿を見直すチャンスでもあると言えるのではないでしょうか?
以上、今回はFacebookの3つのアップデートに関するおさらいと、それらが企業活動に与える影響についてまとめました。ご参考にしていただけましたら幸いです。
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