ヴイエムウェアは3月8日、ITを活用したワークスタイル実態調査「VMware New Way of Life Study」の結果を発表した。同調査は、日本を含むアジア太平用地域12カ国で実施。従業員1000人以上の企業に勤務する18から64歳までの男女2142人(うち日本は152人)が回答している。

国内の集計結果を見ると、「業務上、ITのモバイル化が必要」と答えたビジネスパーソンが82%という高い割合を占めた。にもかかわらず、会社支給PCの社外持ち出しが許可されているビジネスパーソンは30%、私物モバイル端末(ノートPC、スマートフォン、タブレット端末)を業務で使用しているビジネスパーソンは22%、通勤や移動時間に私物モバイル端末を使用しているビジネスパーソンは12%という結果。「これらの数字は昨年とほぼ同様」(ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木 泰雄氏)と言い、ユーザーのニーズに環境整備が追いついていない状況が続いているという。

PCの社外持ち出しを禁止している企業の割合と、その理由

ヴイエムウェア 代表取締役社長 三木 泰雄氏

一方で、アジア太平洋地域全体では、私物のモバイル端末を仕事で使用するビジネスパーソンが83%にも上り、通勤や移動時間に私物のモバイル端末で仕事をするビジネスパーソンも40%という数字になっている。「BYOD(Bring Your Own Device)が浸透している様子がうかがえる」(三木氏)結果となった。

三木氏は、日本で社外でのモバイル端末利用が進んでいない理由について、「東京などは、密集した都市構造になっているため、移動時間が短く、社外業務の必要性がそこまで高くないのかもしれない」と推測。さらに、「日本企業はセキュリティやコンプライアンスに対する意識が高いうえ、文化/風土的に"出社しないで仕事をする"というのが受け入れられづらいという背景もある」と指摘した。

ただし、同社が独自に行っているIT部門調査では、PCの安全な社外利用をサポートする、デスクトップ仮想化/アプリケーション仮想化関連製品を利用中・検討中という企業が約60%に上り、BYODに関しても40%以上が導入または検討している結果が得られているという。こちらの内容も踏まえて三木氏は、「企業での取り込みは進んでいるが、エンドユーザー全員に浸透するまでに至っていないとも考えられる」とコメント。そのうえで、「柔軟なワークスタイルをセキュアに実現するIT基盤は準備できているので、引き続き企業を支援していきたい」と説明した。

テレワーク、「米国の心配はさぼり、日本の心配は過剰労働」

テレワークマネジメント 代表取締役 田澤由利氏

発表会では、政府のテレワーク施策に提言しているテレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏も登壇し、国内におけるテレワークの現状について紹介した。

田澤氏は、テレワークという言葉の定義について「ITを活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と示したうえで、国土交通省では、週8時間以上テレワークするビジネスパーソンを「テレワーカー」と定義していることを紹介。さらにテレワークにもさまざまなスタイルがあり、それらは「雇用型/自営型」「モバイル型/在宅型」の2軸でマッピングされることを解説した。

国土交通省が実施した平成23年度の調査によると、現在のテレワーカーの比率は19.7%、在宅型テレワーカー数は490万人。政府はテレワークの導入をさらに推し進める方針で、「2015年までに在宅型テレワーカーを700万人にする」という目標を掲げている。

国土交通省の調査結果

田澤氏は、こうした状況に触れたうえで、「日本の企業は"大部屋主義"で、米国のような"個人主義"で仕事に取り組む環境になっていない。この点がテレワーク導入の障害にもなっている」とコメント。ただし、「チームを大事にする日本は仕事への意識が高く、マネージメントもしっかりしている。そういった意味では、テレワーク導入時の生産性が、米国企業のように低下することは少ないのではないか」とし、「まじめな日本人は、テレワークによりオフィスに顔を出さないとなると、アウトプットをたくさん出さなければならないと考える傾向にある。米国とは逆に、心配されるのは過剰労働」との見解も示した。