ルネサス エレクトロニクスは3月7日、ハイビジョン画像対応の車載情報端末やスマートフォン、タブレットなどのモバイル機器、および産業機器などに向けて、低遅延処理に対応したマルチフォーマットビデオコーデックハードウェアIPを開発したことを発表した。

同IPは、データ制御方式の最適化により、データの入力開始から対応する出力が開始するまでの遅延を最小1msで実現することが可能で、無線による映像伝送システムや車載エンタテイメント、高品位ビデオ会議システムなど、リアルタイムで圧縮された映像データを低遅延で伝送することが要求されるシステムの開発を可能としている。

また、従来のH.264 AVC、MPEG-4、MPEG-2などのフォーマットに加えて、新たにVP8のエンコード機能を追加したほか、H.264 MVCによるフルHDのステレオ3Dコンテンツの記録にも対応した。加えて、デコード機能は、従来ハードウェアIPと同等の規格に対応しているため、さまざまなコンテンツの再生が可能となっている。

さらに、従来ハードウェアIP比の2倍となるフルHD映像の60フレーム/秒相当(1080p60)のエンコード・デコード処理性能を、従来同等のハードウェア規模と消費電力で実現しているほか、128ビット幅の広帯域のデータバスの対応などが行われており、圧縮トランスコードやビデオチャットなど、同時に複数の映像をエンコード・デコードすることが要求されるアプリケーションを、単一のハードウェアIPで実現することが可能となっている。

なお同IPは2013年4月よりサンプル出荷が開始される予定で、同社では、同IPを車載・モバイル・産業機器分野向けIPと位置づけ、積極的な拡販を行っていくとするほか、Linux、Android、Windows Embedded Automotiveなどの汎用OSで動作するOpenMAX ILに準拠したミドルウェア群の製品化を進めていく計画としている。