STMicroelectronicsは、ARM Cortex-M4コアと、より優れたユーザー機能を実現するグラフィックス関連の機能を統合したマイコン「STM32F429/39」のサンプル出荷を開始したと発表した。
同製品は大手ツールベンダSEGGERと協力し、組み込みグラフィックス開発のソフトウェア・サポート強化を狙ったもので、180MHz Cortex-M搭載の32ビットマイコン「STM32」の性能を向上させたほか、新しい製造および設計手法によりストップモードでの消費電流を減少させている。
また、TFT-LCDコントローラ、グラフィックス機能を高速化するST Chrom-ART Accelerator、SDRAMインタフェースなどの機能を搭載しているため、スマートメータ、小型家電、産業用/ヘルスケア用機器などの各種アプリケーションにおける多様かつカラフルなコンテンツの提供と、より直感的な操作が可能なユーザーインタフェース(UI)の実現が可能となっている。
さらに、I2S TDM(Inter-IC Sound Time Division Multiplex)接続により、マルチチャネルオーディオの設計が可能であるとともに、組み込みプロセッサ向けのコピー防止セキュリティ機能を備えているほか、同時に発表された新しいグラフィックスソフトウェア「STemWin」を用いることで、SEGGERのemWin組み込みグラフィックススタックへのアクセスが可能となり、これらの新しいハードウェアグラフィックス機能を最大限に利用できるように最適化されている。
STM32のユーザーが無料で利用できるSTemWinは、インターネットプロトコルを使用してUIをリモート表示できるようにするSEGGERの「VNC(Virtual Network Computing)システム」を含んでいるほか、開発者向け機能としてウィンドウマネージャパッケージ、ウィジェットパッケージ、タッチスクリーン/マウスのサポート、ちらつきのない画面更新を可能にするメモリデバイスコンテキストなどが追加されている。
なお、「STM32F429/39」のパッケージは、LQFP100、LQFP144、WLCSP、LQFP176、UFBGA176で、主要顧客向けにサンプル品を出荷中。また、200ピン以上の新しい2種類のパッケージオプションとしてLQFP208、TFBGA216も導入されており、I/Oの増加による性能・機能の最大限利用が可能となっている。
価格は、年間1万個購入時で、内蔵Flashメモリが1MB、SRAMが256KB、LQFP100パッケージを採用した「STM32F429VGT6」で7.60ドル、内蔵フラッシュメモリが2MB、SRAMが256KB、暗号化/ハッシュプロセッサ、LQFP208パッケージを採用した「STM32F439BIT6」で10.23ドルとなっている。また、併せて2012年に主要顧客向けにサンプル出荷を開始した動作周波数168MHzの大容量フラッシュメモリ内蔵品のシリーズの量産も開始したという。