「サイレント・マジョリティ」とは? 日頃の業務で何気なく使っている専門用語。でもその言葉の意味、ちゃんと理解して使っていますか?
ソーシャルメディアマーケティングラボが、なんとなく分かっているつもりでも、実はよくわからなくて「もやもや」 している?!今さら人に聞くのはちょっと恥ずかしい、ウェブマーケティング用語を分かりやすく解説します。
用語説明:【サイレント・マジョリティ(silent majority)】
積極的な発言行為をしないが大多数である勢力のこと。アメリカのニクソン大統領が、1969年11月3日の演説で「グレート・サイレント・マジョリティ(the great silent majority)」と、この言葉を用いた。当時、ベトナム戦争に反対する学生などにより反戦運動がうねりを見せて高まっていた。しかし、ニクソンはそういった運動や発言をしない大多数のアメリカ国民はベトナム戦争に決して反対していないという意味でこの言葉を使った。それ以降、「発言はしないが現体制を支持している多数派」というニュアンスで用いられるようになった。(Wikipediaより)
マーケティング用語としても、「発言しない大多数の消費者」との意味で用いられている。
解説
「サイレント・マジョリティ」のニーズの把握こそ、マーケターの命題
マーケティング業界においては、従来より、以下のような観点から「サイレント・マジョリティ」の存在が重要視されてきました。
・商品やサービスに対してクレームや意見を述べる人はごく一部であり、大半の人は「物言わぬ」消費者=サイレント・マジョリティである
・クレームや意見を寄せてくれる人はとても貴重な存在であるが、その意見だけを聞くことが、必ずしも大多数の意見を反映するものとは限らない
・「ヒット商品」を生み出しているのは、メディア等に取り上げられる一部の特殊な消費者層ではなく、それを周りで見ている大多数のサイレント・マジョリティである
これら大多数の消費者層の真のニーズを解き明かすために、従来より様々な方法での調査(フィールド調査、電話調査、郵送調査、インターネット調査など)が行われてきましたが、実際にはこれら調査で窺い知れることには限りがあります。そのため、マーケターにとって、調査等のデータから読み取る「真のコンシューマー・インサイトの獲得」こそが課題であり、命題であるとされています。
※「コンシューマー・インサイト」とは? http://smmlab.aainc.co.jp/?p=15981
ソーシャルメディアにより今まで見えなかった消費者の声が浮き彫りに
ソーシャルメディアの台頭により、消費者は商品やサービスに対しての様々な意見や感想を、インターネット上で友人と交わすようになりました。これにより企業は、従来から友人や家族間で「リアル」に交わされていたであろう会話の一部を、「インターネット」を通じて、知ることができるようになったのです。
これらの声は、企業からのアンケート調査と異なり、消費者が「企業向け」に発信したものではないため、企業はより自然な消費者の声=真のニーズに迫ることが期待できます。
また、従来より、企業が把握できる消費者の「声」は、「クレーム」等のネガティブな反応が主なものと言えました。しかしながら、ソーシャルメディアでは、ネガティブな反応だけでなく、賛同する声や、前向きな感想も聞くことができます。賛同する声、建設的な意見を聞くことで、新たなニーズや改善策の発見に結び付けることもできるでしょう。
ソーシャルメディア上での「声」を拾うツールも多数提供されており、これからのマーケティングにおいて、消費者の声を自ら積極的に聞きにいく姿勢、「ソーシャルリスニング」への取り組みは必須事項であると言えます。
※「ソーシャルリスニング」とは? http://smmlab.aainc.co.jp/?p=17067
また、「ソーシャルリスニング」を通じて発見したクレーム等に企業側からアプローチ、大きな不満となる前に解決を図ったり、消費者が発した賛同の声に企業から積極的に感謝の言葉を述べることで、より企業との結びつきの強化を図ったりする「アクティブ・サポート」への展開も期待されます。
「ソーシャルリスニング」を踏まえて求められる「本質」とは?
しかしながら、もちろん、このような「ソーシャルメディア」で拾える声もまだ限定的なものであることを忘れてはなりません。
ブログ、Twitter、Facebook等を利用する人口は着実に増えていますが、年齢層や地域性、職業など、利用者層に偏りがあることは事実です。また、ソーシャルメディアのアカウントを保持していても、実際に「発言」はしておらず、読んでいるだけという人も多く存在するでしょう。
また、ソーシャルメディアの台頭により、様々な人の声が聞こえるようになっただけでなく、「従来よりよく発言してきた人の声がより大きく聞こえるようになった」という側面も存在します。企業側には、これら様々な消費者の発言をきちんと精査し、フィルタリングしていく姿勢が求められます。
結局は、これら「ソーシャルリスニング」で拾える声やデータを参考にしながら、その裏にいる大多数の消費者の真のニーズを把握することこそが「本質」であることには変わりありません。
イラスト
速瀬 みさき
1993年よりホラー誌デビュー。漫画家として活動しながらエッセイ、イラスト、デザインなども手掛ける。近著コミックスは、メイド喫茶にバイトで潜入取材漫画。広告代理店勤務の夫を持ちながらも、マーケティングなにそれ?状態で執筆中!
公式サイト : http://www.nanacom.com/
Facebookページ : http://www.facebook.com/hayase.mi
用語解説:ソーシャルメディアマーケティングラボ
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