タカタは3月5日、エアバッグ自身で制御する機構を採用した運転席用エアバッグ「フレキシブル・ベンティング・テクノロジー・エアバッグ(FVTエアバッグ)」を開発したことを発表した。
通常の運転席用エアバッグは、車両衝突時にインフレータと呼ばれるガス発生装置からガスが供給されエアバッグが膨らみ、それで乗員を受け止め、背面に設けてあるベントホール(エアバッグ背面にある排気孔)からガスを排出することにより衝突時の乗員の運動エネルギーを吸収している。この際、エアバッグを衝突形態や乗員の体格にあわせて最適な圧力で制御するには、衝突の大きさを判断しエアバッグ装置を作動させるECUからの衝突規模情報と、シートに設置されたセンサによる乗員の重量や着座位置情報などから、エアバッグを膨らませるガスの出力を制御するデュアル・ステージ・インフレータ(2段式のインフレータ)を使用するのが一般的であった。
今回開発されたFYTエアバッグは、ベントホールを塞ぐようにベントカバーが設けてあり、そのカバーでベントホールの開閉を制御、ガスの排気をコントロールすることで、エアバッグのエネルギー吸収性能を高めてさまざまな衝突形態や、小柄から大柄な乗員までの幅広い体格に対応することができるようにしたというもの。このため、ベントカバーを車両側からの信号を使って制御する必要がなくなるため、デュアル・ステージ・インフレータやその制御のためのセンサを使用することなく、シングル・ステージ・インフレータ(1段式のインフレータ)に置き換えても、最適な性能を発揮することが可能になるという。
なお、同社では同技術を用いることで、車両システムの構成を簡素化できるようになることから、車両全体としてコスト低減が可能になるほか、軽量化による燃費向上も図れるようになると説明している。