計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは3月4日、MIMOレーダや4G/LTEの設計に最適な通信・防衛システム向け設計ソフトウェア「SystemVue」の最新版を発表した。

最新版となる「SystemVue 2013.01」は、次世代MIMOレーダシステムや4G/LTEインフラなどのアプリケーションに携わる、システムレベル設計、デジタル信号処理モデル開発エンジニア、検証エンジニアなどに最適となっている。実環境に近いモデリング、規格に準拠した検証、高性能測定機器との連携を実現しており、設計の手戻りを減らすことで、先端のワイヤレスや防衛技術のプロジェクトにおけるリスクの低減が可能となり、これにより、RFやDSPの研究開発における意思決定を従来以上に効率的に行うことができるようになるという。

例えば「W1905レーダ設計ライブラリ」では、MIMOレーダ、フェーズドアレイレーダ、合成開口レーダ(SAR)など、アレイを用いたレーダ設計に最適な信号処理を実現しており、最新版では、70種類の機能ブロックと50種類のアプリケーション例が提供され、C++、MathLang、FPGA/HDL、SystemCを用いたモデル構築が可能となっている。

この他、以下のような実践的なレーダ設計に役立つ各種機能やモデルを提供している。

  • 実世界のRFモデル(X-parameters)
  • 実測波形が利用できる。アジレントの測定器と連携し、波形データの入出力が可能(例えば、無料のWaveform Sequence Composerを使い、任意波形発生器「Agilent M8190A」にデータを出力できる)
  • 外部アプリケーションの活用により、フェージングの要素(ドップラーシフト、レンジ遅延、形状によるクラッタ)の追加
  • アンテナの指向性、間隔、妨害、ジャミング、ターゲット、クラッタ、フェージングなどの環境要因の反映

携帯電話や近距離無線通信向けには、3GPP Release-9 TS37で定められたMSR(Multi-standard Radio)用のシミュレーションテンプレートを提供しているほか、4G/LTEやIEEE 802.11ac無線LANで使われるパワーアンプ向けにDPD(デジタルプリディストーション)に対応したアルゴリズムも実装している。また、W1916 3Gベースバンドライブラリは、新たにMSRシミュレーションテンプレートに対応し、2G/3G関連のアップデートも行われており、これらにより、4G/LTE、GSM、EDGE、WCDMAなどのシステムが混在する際の解析が容易になったという。

さらに、W1716 DPD Builderのアップデートでは、ルックアップテーブル(LUT)プリディストーションのアルゴリズムや、新しいクレストファクタ低減アルゴリズムが追加されている。

なお、価格は約200万円(税別)からとなっている。

SystemVue 2013.01のスクリーンショット