NTTデータ経営研究所は2月28日、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する「gooリサーチ」登録モニターを対象に、「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査」を実施し、その結果を発表した。
本調査は、2011年7月に実施した「東日本大震災を受けた企業の事業継続に係る意識調査」の継続調査として、東日本大震災の発生に伴い、企業の事業継続に対する取り組みや意識にどのような変化が生じたか、震災の教訓を踏まえ、企業各社は現在どのような課題認識を持っているか等について調査を実施したもの。
調査によると、現在のBCPの策定状況は、「策定済み」企業が40.4%。「策定中」まで含めると70.3%いたという。
BCPの策定状況について、前回調査(2011年7月)の回答者(東日本大震災発生以前のBCP策定状況について調査)に対する追跡調査を行ったところ、全体でのBCP策定済みの割合は、約1.5倍に増加しているという(現在:37.0%、東日本大震災発生以前:24.6%)。
従業員規模が大きくなるにつれ、BCP策定済み企業の割合は増え、500人以上の企業で半数超える56.3%、5,000人以上の企業では、約3分の2の66.5%がBCP策定済み。
業種別にみると、早くからBCPの取り組みが進展している金融・保険業がBCP策定済み(75.6%)と群を抜き、策定中も含めると9割を超える。一方で、教育・医療・研究機関や、商業・流通・飲食においては、約4分の1程度の策定割合に留まっており、事業継続の取り組みにやや遅れがみられる。
東日本大震災を受けて、自社のBCPを策定する、もしくは策定内容を見直しするかどうかについて尋ねたところ、震災前に策定済み・策定中であった企業では、約7割(66.9%)が見直しを実施したと回答。震災前に未策定であった企業においても、震災の経験で新規策定に踏み切った企業が4割を超えた(43.2%)。
また、現在の自社のBCP(策定内容・検討内容)に対し、策定内容が不十分、策定が思うように進まない等の課題認識を持っている回答者に対し、その理由について尋ねたところ、「自社単独でのBCPそのものに限界がある(外部からの調達・供給ができなければ事業継続できない等)」(51.5%)が最も多く、以下「実効性のある対策を策定するにあたり、自社の拠点・設備だけでは限界がある(単一拠点で事業を行っており、代替となる自社拠点がない等)」(37.6%)、「BCP策定に必要なノウハウが不十分」(35.5%)と続く。
「自社単独でのBCPそのものに限界がある」といった課題に対しては、取引先等を含めたBCP策定、または取引先等のBCPと連携をとったBCPが求められ、「自社の拠点・設備だけでは限界」「自社の要員だけでは限界」といった課題に対しては、同業者等との有事発生時の連携が考えられる。こうした強い課題認識がありながらも、上記までの調査結果からもわかるように、外部のステークホルダーを含めたBCP策定や、事業者間のBCP連携は、思うように進展していない現状が明らかになったとNTTデータ経営研究所では分析している。