シトリックス・システムズ・ジャパンは2月28日、米国本社からセールスおよびサービス担当のシニアバイスプレジデント アル モンセラット(Al Monserrat)氏を招き、事業戦略発表会を開催した。
アル モンセラット氏は冒頭、グローバルにおける同社の業績に触れ、同社がこの10年間で収益が年平均17.2%、純利益が18.3%成長している点を強調。その理由を「シトリックスがこれまで長期的なビジョンに従い長期的な投資を行い、お客様のバリューにコミットしてきた結果だ」と説明した。
なお、同社が1月31日に発表した2012年度の収益(ワールドワイド)は、前年度比17%増の25億9,000万ドルとなっている。
そして同氏は今後、モバイルワークスタイルを実現する「クラウドコンピューティングカンパニーを目指す」と述べた。
アル モンセラット氏は、モバイルワークスタイルのメリットについて、「モバイルワークスタイルを実現することにより、どこにいても、どんなデバイスでも仕事ができるようになり、社員の生産性が上がり、プライベートと仕事の調和を図ることができる」と説明した。
続いて登壇したシトリックス・システムズ・ジャパン 代表取締役社長 マイケル キング氏は、「2013年は、今後15年の大きなプラットフォームになる重要な年になる。2013年のテーマはお客様、パートナー、各個人と一緒に成長していくことだ」と述べ、2013年に主に投資する分野として「デスクトップの仮想化とモビリティ」、「クラウド&ネットワーキング」、「新規ビジネス機会の創出」の3つを挙げた。
3つの分野における具体的な製品の出荷とソリューションの展開については、シトリックス・システムズ・ジャパン マーケティング本部 本部長 伊藤利昭氏が解説した。
デスクトップの仮想化においては、同社がこれまで培ってきたXenDeskTopのソリューションをクラウド上で展開していくことを目標としており、Windows as a Serviceを目指す「Project Avalon」を推進していく。
そして、これを実現するソリューションとして、次世代のXenDesktop/XenApp、XenDesktop、XenAppを動作させるプラットフォームとしてのCloudSrack、XenDesktop/XenAppをサービスとして提供できるように支援するオーケストレーションサービスの3つを提供する。
なお、クラウドサービスとして提供できる製品は、次世代のXenDesktop/XenAppだけでなく、旧バージョンや異なるバージョンの混在環境もサポートするという。
また、クラウド展開をスムーズに進めるための評価、デザイン、展開、メンテナンスをサポートする「AppDNA」というサービスも提供する。ここには、来年4月にサポート期限を迎えるWindows XPからWindows 7/8への移行も含まれているという。
そのほか、クラウド環境を構築にするにあたっては、HP、Cisco、Dell、IBMの4社からXenDesktopが動作することをあらかじめ検証したシステム「Validated Designs」が提供される。
次にモビリティについては、「Citrix XenMobile」を展開する。XenMobileでは、「エンタープライズMDM」、「メール・データ・ブラウザ」、「MDXテクノロジーによるモバイルアプリコンテナ」、「統合アプリストア」、「ID連携とシングルサインオン」、「シナリオベース(企業ポリシーに準拠した)のアクセス制御」の5つの機能を提供する。
これらは2月28日に発表され、MDMについては「XenMobile MDM」という製品で提供。その他の機能については、「モバイル ソリューション バンドル」という製品で提供する。いずれの製品も、3月中旬より提供を開始する予定だ。
「メール・データ・ブラウザ」は、スマートデバイス上で、企業ポリシーを守りながら動作させる、ベースとなるアプリ。「MDXテクノロジーによるモバイルアプリコンテナ」は、ユーザーの個人用のデバイス(会社支給のデバイスでも可)の中に、独立して業務用アプリを動作させるコンテナを構築する。
「統合アプリストア」は、企業が従業員のためにアプリを提供するためのプラットフォームとなる。
クラウドについては、オープンソースのCloudStackをベースにしたCloudPlatformを推進。
ネットワークについては、ロードバランサであるCitrix NetScalerにおいて、新製品として「Citrix NetScaler SDX」を展開。この製品にはサードパーティ製のソフトウェアを組み込み、アプライアンスとしての機能を拡張する。
そして、「新規ビジネス機会の創出」では、企業内において、セキュアファイル共有サービス(オンプレイスでのストレージ)を提供できる「Citrix ShareFie」を新たにリリースするほか、グローバル標準のサポートプラグラム「Premier Support」と「Subscription Advantage」を展開する。このサポートプログラムは、今年の上半期のリリースが予定されている「Project Avalon」の最初の製品から適用される予定だ。