日本マイクロソフトは、2月6日に発表したデスクトップ向けの新Office(Office 2013)の機能をサポートした、最新のOfficeクラウドサービス、新「Office 365」を2月27日より提供開始すると発表した。
Office 365は、Officeアプリケーションのほか、電子メール、ドキュメント管理、オンライン会議などのグループウェア機能(Exchange Online、SharePoint Online、Lync Online)をワンパッケージで提供するクラウドサ-ビス。Officeアプリケーションを1ユーザー月額1,030円から利用できるOffice 365 ProPlusも提供される。
Office 365 ProPlusは、クラウドからアプリケーションをストリーミング配信してインストールでき、アップデートは自動的に適用され、アプリケーションを常に最新の状態に保つ。このプランにはWord、Excel、PowerPoint、OneNote、Outlook、Publisher、Access、Lync、InfoPathが含まれ、機能はデスクトップ向けの新Officeとほぼ同等だという。
また、Office 365 ProPlusは旧バージョンのOfficeとも共存でき、ユーザー単位(1ユーザー5デバイス利用) のライセンス体系を提供する。
そのほか、新Office 365はソーシャル機能を強化し、SharePoint OnlineとYammerによるエンタープライズソーシャル、Lync Onlineによる多拠点間のHDビデオ会議にも対応。Visioやプロジェクト管理ツールであるProjectも新しくクラウドサービスとして追加された。
新Office 365では、中小企業への販売を強化しており、10名までの小規模企業向けライセンスである「Office 365 Small Business Premium」と、250名までの、中規模企業向けの「Office 365 Midsize Business」が追加された。Office 365 Small Business Premiumでは、Office 365 ProPlusのほか、Exchange Online、SharePoint Online、Lync Onlineを1ユーザー月額1,030円で、Office 365 Midsize Businessでは、1ユーザー月額1,230円で利用できる。なお、ユーザー数無制限のOffice 365 Enterpriseもあり、こちらは1ユーザー月額1,800円。
金額の違いは、管理機能の違いによるもので、Office 365 Midsize Businesでは、Active Directoryとの同期や、PowerShell による管理機能をサポート。Office 365 Enterpriseでは、コンプライアンス対応機能、高度なBIなどのITニーズに応えるための機能、運用管理およびサポート体制も備えている。
同社では、今回の新Office 365の発売合わせ、新たなパートナー制度として従来の仕入販売モデルを活用したOffice 365 Openを追加。Office 365 Openの導入により、シネックスインフォテック、ソフトバンクBB、ダイワボウ情報システム、ネットワールドのマイクロソフト認定ディストリビューター4社が、仕入販売、展開の仕組みを整備する。さらに導入・設定支援パッケージサービスの提供または紹介を開始し、日本全国の販売パートナーがマイクロソフトのクラウドビジネスに参入しやすくし、2013年6月末までに4,000社のパートナーを獲得することを目標にする。
日本マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏は、「Office 365は以前、BPOSという名前で販売していたが、Office 365はその頃に比べ10倍のスピードで伸びている。Office 365は、災害対策のほか、資産の外出し、すぐに始められるというメリットがある。同じインタフェースでオンプレミスでもパブリッククラウドからでも使える製品を提供している会社はマイクロソフトのほかにない。デスクトップ版の新しいOfficeはWindows 8に対応したことが目玉だったが、今日発表するOffice 365は、24時間365日動かせるクラウド版のスイート製品でオールインワンパッケージだ」と述べた。
そして、日本マイクロソフト Officeビジネス本部 業務執行役員 本部長 ロアン・カン氏は、「3.11の震災以降、多くのお客様がクラウドサービスに関心をもっており、ビジネスの継続、バックアップ、コスト削減もできるクラウドが推進されている。新しいOfficeはビジネスの価値をデバイス、クラウド、ソーシャル、管理という4つの領域で発揮する。タッチUIをサポートし、ストリーミング配信によりインストールできる。また、パーソナライズ環境も保存され、どこからでも作業を再開できる。また、前バージョンと併用でき、1つのライセンス最大5つのデバイスを利用できる。今後はすべての顧客が365のユーザーになるだろう」と語った。
すでに、JTとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が先行導入しているという。JTでは、どこでも仕事ができるタブレッットとOffice 365の組み合わせを推奨し、ドキュメント作成はPC、閲覧はタブレットといった使い分けを行っているという。
一方、CCCでは、売り上げデータや顧客情報の参照などを行っているという。Office 365のメリットとしては、情報の検索性、Officeの親和性があり、今回、SharePointにソーシャル機能が追加された点も大きいという。同社では、「情報はある人にかたよっており、SNSでその人を参照することによって、新しい企画が生まれる」とメリットを語っている。
なお、同社では新Office 365の無償トライアル版をWebで公開している。