よりスマートに使えるモバイル版が登場
前回の記事では、TIS株式会社が提供するリモートアクセスサービス「RemoteWorks」(リモートワークス)の特徴について紹介した。現在、リモートアクセスサービスはいくつかの選択肢があるが、これだけ低コストかつ簡単に導入ができ、さらに管理の容易さ、高度なセキュリティを兼ね備えたものはそう多くないだろう。
しかし、ご承知のとおり、現在はタブレット端末を導入する企業が急速に増えている。特に、営業担当者などには新たなビジネスツールとして支給されるケースが多く、そうしたユーザーの中には「RemoteWorksがタブレットやスマートフォンで使えると便利なんだけど…」と思った方もいるのではないだろうか。そんな方に朗報が飛び込んできた。なんと3月22日より、新たにRemoteWorksのモバイル版「RemoteWorks Mobile」(リモートワークスモバイル)がリリースされるのである。
もちろん、従来のRemoteWorksでもモバイルノートPCとモバイルWi-Fiルータなどを持ち歩けば、どこからでも社内のPCにアクセスすることができた。実際、最近では薄型・軽量ボディーのUltrabookなども人気となっている。だが、持ち運びやすい薄型軽量ボディーに加えて、ビジネスバッグからサッと取り出して使える利便性ではスマートフォンやiPad、Android等のタブレットに分があるといえる。
また、電車の乗換えなど限られた時間内でスマートに使いたいビジネスパーソンにとって、電源ボタンを押した瞬間に起動するスピードは大きな魅力。ノートPCをスリープ状態で運用していても、タブレット端末ほどのレスポンスは得られない。この"わずかな時間でチェックできる"という点は、ビジネスツールにとって非常に重要。社員が少しでも面倒に感じるようでは、使われなくなってしまう可能性が高いからだ。
さらに、3GもしくはLTE対応モデルを選べば、モバイルWi-Fiルータなどを携帯しなくても良いというメリットもある。
それでは本稿では、RemoteWorks MobileをiPadで実際に使用しながら、この組み合わせがビジネスシーンでどのように役立つのかを見ていこう。
営業先でのプレゼンテーションに活躍
営業担当者は、相手の個人や企業に対して自社の製品・サービスをいかに売り込めるかが勝負となる。ここで一番重要なのが、製品やサービスの良さをどのようにして相手へと伝えるかだ。従来のように紙ベースのカタログを見せながら説明するのも方法のひとつだが、動きのある製品などは、アニメーション付きのプレゼンテーションや動画などで説明したほうがわかりやすい。
また、商談の中では、他の製品・サービスに話題が及ぶことも少なくない。さらに商材によっては、最新の数字を見せてほしいと依頼されるケースも多々ある。このようなシーンで、該当資料を瞬時に提示できると商談は一気に加速する。
もちろん今までも、ノートPCなどでデータを持ち歩けば、外出先でプレゼンテーション資料や動画を見せることはできた。しかし、たとえば特定の顧客以外に見せられないような社外秘データがあった場合、ノートPCやメディア内に保存しておくと万が一の紛失・盗難の際に情報漏えいにつながる可能性がある。また、動画を入れたり、社内資料を網羅的にコピーしたりとなると、当然データ量は膨大になる。多くの商品を扱う営業担当者は、どれだけHDDを積んでも足りないということになるだろう。
そこで有用なのがRemoteWorksである。同サービスを使えば、端末内に一切情報が残らないため紛失時のリスクを大きく抑えられる。また、社内のサーバーから資料を取り出せるため、商談相手の多様な要望にも即座に応えることが可能だ。
このように非常に便利なRemoteWorksだが、既存ユーザーが残念がっていたのが、タブレットから利用できない点である。ノートPCを持ち歩くのでも構わないが、営業担当者の負担軽減を考えると、端末は少しでも軽量な方が良い。また、訪問先における起動時のレスポンスも重視されることから、やはりタブレット端末は有力な選択肢だろう。
さらに、こうしたプレゼンテーションは相手へのインパクトという部分でも有利に作用する。PCのスクリーンで説明するよりも見た目が美しく、"訪問した"という事実を相手に強く印象付けられるため、それだけでも営業効果があったといえるわけだ。
時間や場所を気にせず手軽に報告書を作成
現代のビジネスでは、情報共有のスピードが求められる。そこで、営業担当者が相手先を訪問した後や、取引先とのミーティングを済ませた後などに、素早く報告書を作成する習慣を付けたい。
報告をメールで送ることもできるが、これでは宛先に含まれる人にしか情報が伝わらず、なおかつ後から見た時の一覧性がない。社内の誰かがメールの内容を共有ファイルに書き写す、というのも二度手間だ。
その点、RemoteWorks Mobileを使えば社内の共有ファイルに直接書き込むことが可能。もちろん、この時点ではある程度簡易的なものでも構わない。共有したExcelファイルに必要事項を書き込む、もしくはプルダウンメニューなどにより極力入力の手間を省いたフォームを準備しておくのも良いだろう。
ここでも、iPadの携帯性と起動スピードが活きてくる。液晶を開き、OSが起動するのを待つ必要があるノートPCと比べて、iPadならよりスピーディーに報告処理ができる。少しでも顧客の訪問数を増やしたい営業担当者にとって、移動中またはその前後に素早く済ませられるのは魅力だ。
また、立った状態でも片手で支えながら使いやすい、バッテリー駆動時間が長い、といった部分もiPadのメリットといえる。そのほか、どうしても文字入力が多くなる業務の場合は、Bluetoothキーボードなどと連携するという選択肢もある。
簡単に導入できるのもメリット
ここで挙げたシチュエーションだけでなく、たとえば外出先で打ち合わせに関する資料を再確認したい、会社に戻らず稟議書の承認作業を行いたい、災害が発生した際のBCP対策としていつでも情報共有ができる環境を整えたい、といったニーズにも対応する。
位置づけとしては、従来のRemoteWorksが営業所をはじめとした各拠点や在宅勤務で高い利便性を発揮するのに対し、RemoteWorks Mobileはその名の通り、よりモバイル性を追求したサービスといえるだろう。 そのほか、導入方法が簡単なのもRemoteWorksが持つメリットのひとつだ。
まずRemoteWorksを導入するには、契約後にTISから通知されたWeb管理サイトへアクセスし、エージェントのダウンロードとインストールを行う。続いて、インストールの完了後に起動する登録情報設定画面で初期登録を済ませ、端末IDが確認できたらクライアント端末側の設定は完了となる。従来のRemoteWorksでは、アクセスに使う端末でUSBもしくはDVD内にあるEXEファイルを実行し、ログイン操作を行えば良い。
RemoteWorks Mobileに関しては、申し込みを行うと認証キーが発行される。あとはApp StoreもしくはGoogle PlayからRemoteWorks Mobileをダウンロードし、インストールするだけで準備は完了だ。アプリによる接続時、そしてクライアント端末へのログイン時にそれぞれ認証処理を行えば、リモートアクセスが可能となる。
BYODの普及にも大きく貢献
このように、RemoteWorks Mobileは企業のビジネススピードを加速させてくれるサービスだが、もうひとつ大きな魅力がある。それは、個人所有の情報端末を業務で使用する「BYOD(Bring Your Own Device)」に適しているという点だ。
一般的に、BYODを採用する上で課題となるのが、個人データと仕事用データの切り分け。情報端末の中にデータを保存するタイプの使い方では、紛失・盗難時の対応が難しくなってしまう。確かに、遠隔操作で端末内のデータ削除や初期化ができるリモートワイプに対応したサービスもあるが、BYODでは端末に個人のデータが含まれるため、そう簡単にもいかない。場合によっては個人のデータまで消されるのを恐れた結果、システム管理者への盗難・紛失報告が遅れる、もしくは故意に遅らせるといった可能性も出てくる。
その点、RemoteWorks Mobileならデータが端末上に残らないため、企業・社員ともに安心して利用できる。また、端末内にデータを保存しないため同期や二重管理が不要、といったメリットもある。
こうした点から、RemoteWorks Mobileはビジネスの効率化だけでなく、日本におけるBYOD普及の火付け役としても期待できるサービスといえるだろう。
さらにRemoteWorksでは、タブレットからのメールチェックがより便利になる機能を実装予定との噂もある。タブレットからメールを確認する場合、従来は社内のPCにリモート接続し、メールクライアントを起ち上げて送受信していた。しかし新機能を使うと、「Wake on LAN」機器が動作していれば自分のPCを起動することなく、アプリからダイレクトにメールの送受信が可能となるようだ。
詳細については正式リリース待ちだが、こちらの追加情報にも期待したい。
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