熱心にコンピュータの画面に見入っている従業員がいたら、疑ってみる必要があるかもしれない。米国の調査によると、会社でのインターネット利用のうち、最大80%が業務に関係ないことだという。調査を行った研究者らは、私的な利用が過度にならないようにするためには、罰則を設けるのが効果的と助言している。

カンザス州立大学で准教授を務めるJohn Pearson氏らが、企業と大学での従業員や学生のインターネット利用を調べたところ、60~80%が仕事や任務に関係のない私的なことに利用していたという。仕事とは関係ない情報サイトの閲覧に加えて、多いのはFacebookなどのソーシャルサービス。インターネット利用に関して何らかのポリシーを設けている企業も多いが、効果がなかなか出ていない、とPearson氏はまとめている。

インターネットの私的利用がまねくのは、単に生産性の損失にとどまらない。

もし違法なサイトを閲覧していたり、著作権のあるコンテンツのダウンロードなどの違法行為を行ったりした場合には、会社が法的なトラブルに巻き込まれる可能性もある。もちろん、コンテンツの中に組み込まれていたマルウェアに感染し、被害が会社中に及んでしまうリスクもある。

調査によると、年齢にかかわらず私的なインターネット利用を行っているとのこと。FacebookやTwitterなどのSNSの利用が若い人に多く見られたのに対し、年齢が上になると金融情報サイトの閲覧や資産管理などの利用が多いという。このほか、オンラインショッピングや動画サイトなども多いようだ。「年齢に関係なく、さまざまな方法でインターネット上で時間を無駄にしている」とPearson氏は記している。

もちろん、企業はこれまで野放しにしているわけではない。従業員のコンピュータ利用をモニタリングしている企業は多く、インターネット利用に関するポリシーを持つところも多い。

とはいえ時間や資金を投じてポリシーを策定したはずなのに、調査ではモニタリングされているとわかっていても利用を控えようとしないと、監視する側にとっては痛い点をPearson氏は指摘している。そういったことから「ポリシー策定だけでは不十分で、過度な私的利用を抑制するようにポリシーを実施すべき」と助言。「検出と利用停止の仕組みを組み込むことが抑制につながる」として、懲罰を設けることを提案している。

だが、監視と刑罰は社員にとって良いイメージを持たない。そのため導入にあたっては、慎重に行うようにともアドバイスしている。