各分野の専門家の方にお勧めの書籍を紹介していただいている本企画。今回は、開発プロセスに精通する正木威寛氏に紹介をお願いしました。PMBOKやBABOKといった標準からアジャイル開発の解説書まで幅広く取り上げていただいているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事 : スペシャリストの選書 - (1) セキュリティ 辻伸弘氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (2) 要求定義 三輪一郎氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (3) 開発プロセス 正木威寛氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (4) プロジェクトマネジメント 岡大勝氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (5) モデリング 羽生田栄一氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (6) プログラミング 伊藤直也氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (7) クラウド 後藤和貴氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (8) システム運用 原田旨一氏
関連記事 : スペシャリストの選書 - (9) ネットワーク 藤田雄介氏
プロフィール
正木威寛
株式会社オージス総研 ソリューション開発本部 アドバンストモデリングソリューション部 シニアコンサルタントプログラマ、アーキテクト、プロジェクトマネージャーとして、組み込みからエンタープライズシステムまで10年以上の開発経験を積みITコンサルタントとなる。コンサルティングの範囲は開発プロセスの標準化、調達プロセスの標準化、RFPの作成、アーキテクチャ仕様書の評価など多岐にわたる。スプリントやバックログなどアジャイル開発のプラクティスを取り入れた独自のコンサルティング手法を得意とし、顧客バリューを大切にしている。
『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド 第4版』 |
『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド 第4版』
―― 著者:Project Management Institute、発行:Project Management Institute
本書が説明するPMBOKは、プロジェクトマネージャーが知っておくべきマネジメントの技法やツールなどをまとめた辞典のようなものです。プロジェクトに参加するすべての人にお勧めします。全員が知っておくべきプロジェクトにまつわるさまざまな概念を理解するうえで役立ちます。
現在、英語の最新版が第5版となっており、年内には日本語の第5版が刊行されると思います。第5版における最大の特徴は、アジャイル開発のプラクティスも取り込まれた点です。今日の開発プロジェクトにとって、アジャイル開発はもはや無視できないものだと言えるでしょう。
『ビジネスアナリシス知識体系ガイド』 |
『ビジネスアナリシス知識体系ガイド』
――監訳:IIBA日本支部BABOK翻訳プロジェクト、発行:IIBA日本支部
本書が取り上げるBABOKとは、プロジェクト開始前の企画や業務分析といったシーンで必要な技法やツール、概念をまとめたものです。特に要求を引き出し、管理する方法は参考になります。
アジャイルのプロジェクトであれウォーターフォールのプロジェクトであれ、要求を引き出す立場にいる人にお勧めします。また要求を受け取る立場のシステム開発者は、その要求がどういった考えに基づいて生じたものなのかわかるので非常に参考になります。
『ITIL V3 ファンデーション・ハンドブック』 |
『ITIL V3 ファンデーション・ハンドブック』
――著者:itSMF Japan、発行:itSMF Japan
ITIL V3を構成する5つの書籍『サービスストラテジ』『サービスデザイン』『サービストランジション』『サービスオペレーション』『継続的サービス改善』の各プロセスについて、ポイントをしぼって説明しています。先ほど紹介した2冊を読むことで、プロジェクトがどんなものなのか、また業務分析がどんなものなのかがわかります。本書を読むと、企画から運用までのプロジェクト全体のライフサイクルの中で、自分がどんな役割を担っているのかがわかります。
『アジャイルソフトウェア開発スクラム』著者:Ken Schwaberほか、発行:ピアソンエデュケーション |
『アジャイルソフトウェア開発スクラム』
――著者:Ken Schwaberほか、発行:ピアソンエデュケーション
アジャイル宣言から10年以上経ちましたが、世の中はますます変化が早くなり、アジャイル開発に対するニーズは高まっています。たくさんあるアジャイル開発の方法論の中で、特に多く実践されているのがスクラムではないでしょうか。
スクラムはコーディングやテストといったモノ作りのプロセスには触れていませんが、プロジェクトマネジメントを軽量化するためのプラクティスが際立っています。プロジェクトマネジメントをする人にもプロジェクトメンバーの人にもお勧めします。ソフトウェア開発だけに限らず、参考になることが多くあります。
『最強組織の法則』著者:Peter M. Senge、発行:徳間書店 |
『最強組織の法則』
――著者:Peter M. Senge、発行:徳間書店
先ほど取り上げた『アジャイルソフトウェア開発スクラム』が参考文献として挙げているうちの1冊です。学習する組織を作るために、実践しなければならないこと(ディシプリン)を5つ紹介しています。ここで言う組織とは企業全体だけでなく、部署やプロジェクトなどの集団も当てはまります。コントロールされることに慣れた組織ではなく、アジャイル開発などでも言われているように、モチベーションが高く自己実現ができる組織を目指す方にお勧めです。
『Wikipedia』
開発プロセスを定義する際にも、開発を進める際にも文章を書くことは避けて通れません。エンジニアがテクニカルライティングをするときに、Wikipediaのガイドラインである次の項目などは参考になります。
「言葉を濁さない」、「大言壮語をしない」、「避けたい言葉」。これらを守ることで偏りがなく明瞭で、根拠もしっかりとした文章を書くことができます。文章を書くときだけでなく、テクニカルな会話をするうえでも役に立ちます。