リコーは2月22日、同日開催された取締役会において、2013年4月1日付で同社代表取締屋鵜社長執行役員の近藤史朗氏が代表取締役 会長執行役員に異動し、同社代表取締役 副社長執行役員・CF0の三浦善司氏が代表取締役 社長執行役員・CEOに就任することを決定したと発表した。
近藤氏は2007年に社長に就任。就任後の6年間でPP(Production Printer)事業へのシフトや米州での事業拡大に向けた事業買収や体制の整備、新規事業としてのITサービスなどへの注力、PEXTAXイメージング・システム事業の買収といった事業買収や組織改革を行ってきた。
今回の社長交代について近藤氏は、「2008年にリーマンショックがあり、その立て直しを図っている最中に、東日本大震災やタイの洪水、そして超円高という苦難に直面した。そんな状況の中、グループ一丸となって事業を行い、構造改革を進めることで事業構造や収益体質の改善を図ってきた。今回の退任は、その成果の一部が見えてきて、円高の中でも利益を出せる構造になってきたこともあって、このタイミングが1つの節目と感じて決意した」と理由を語る。また、「心残りとしては、ようやく芽を出したばかりの、新しいネットワーク時代に活躍するであろう新規事業の成長を直接タッチできないこと。今後は新社長を支えて、新興国への進出や新事業の成長などに向けた施策を後方から支援するほか、次世代の経営者の育成も含めて、グループ全体が成長軌道に乗っていけるようにしたい」と、会長に就任する4月以降は、裏方として意向を示した。
一方、新社長に就任することが決まった三浦氏は、「2013年3月期は第17次中期経営計画の2年目。そうした意味では、目指すものは変わらず、この中期経営計画を遂行する。トップが変わってもやることは変わらない」として、2012年より使用しているコーポレートブランドタグライン「imagine. change.」を引き続き使用していくことを明言。産業構造が大きく変化する現在、これまでの「モノ」中心のビジネスに、「コト」を足すことで、さまざまなコミュニケーションにつながるものを生み出していくこと、ならびに新規事業などで生み出される新たなソリューションを組み合わせ、なおかつそれをグローバルで1ストップで提供することで、新たな価値を顧客に提供していくとする。
また、過去数年実施してきた構造改革による筋肉質な経営体質への変化をさらに進めつつ、事業を成長させることでキャッシュを生み出し、それを各ステークホルターに還元していくのと同時に、現場主義を掲げて、現場のモチベーションを引き上げる取り組みを進めていくとするほか、「本社が現場を100%信頼し、現場は本社が信じた自分を信じてもらいたい。自分が自分を正当に評価し、PDCAをまわしていくことが求められるが、自分任せというわけではなく、本社でも、もしなにか現場に問題があれば、それをサポートして、解決を図っていけるような体制作りを進める」と、今後の事業の在り方を説明。すでに米州で、そうした環境を構築しており、マネージャークラスの日本と米州の交流/異動などを含めて、モチベーションの向上などを図っているとした。
モノ+コトという新しい価値を1ストップで提供することで、顧客の付加価値を目指すというこれまでの方針から変更はないが、社員を含めたステークホルダーとの関係を強化し、特に現場を信頼したビジネスの展開により、高いモチベーションでの事業拡大を目指すとする |
さらに、4月以降、第17次中期経営計画の最終年となる3年目に突入することについては「2013年度(2014年3月期)は、次の第18次中期経営計画の策定年度ということもあり、1年間の準備期間をもらったという感じ」としており、詳細は正式な社長就任後に機会を設けるとしたが、「リコーは1936年に創業され、後3年で80周年。後に続く人達のモチベーションが引き上げられ、90周年や100周年を無事に迎える時に活躍している社員達に還元できるような体制にしていきたい」と将来に向けた抱負を語り、将来の成長に向けた新規事業の強化策やサービス事業の強化などを強力に推し進めていくことを強調した。