日立製作所(以下、日立)は2月18日、災害現場などすぐに人が立ち入ることが出来ない環境下において、現場の状況を把握し、その後の復旧や救助を迅速に進められるためのシステム「調査モニタリングシステム」を開発したと発表した。
このシステムは、現場の図面など二次元マップの情報をもとに、VHF帯の無線を利用して遠隔操作する3台のロボットにより得た現場の各種センサ情報を、「空間台帳」のデータに対しに更新することで、災害現場の状態マップを作成するもの。
空間台帳は、ロボットの移動のために必要な床面の特性(形状、材質、傾斜、段差など)やエリア内の構造(棚、机、障害物など)、エリア間の構造(開口部、ドアなど)、場所に紐付けられたさまざまな情報を管理し、マップ化。本マップを活用することで、災害現場の状況が詳細に把握できるほか、その後の復旧に向けた作業計画の作成やロボットによる復旧作業の実現などに活用できる。
また、ロボットの制御とロボットにある各種センサやカメラ映像の受信用に、障害物に対しても回り込むなど、電波伝播特性が広範で安定性が高い無線通信が可能なVHF帯を活用。なお、ロボットシステム自体も相互に無線中継が可能とすることで、個別のロボットでは無線通信で到達できないエリアでも調査モニタリングを可能としている。
さらに、多地点で複数のロボットなどがネットワークを介して連携するネットワークロボット技術の研究開発である総務省の平成21年度からの委託研究「ライフサポート型ロボット技術の研究開発」の開発成果である空間台帳データベースを活用し、3台のロボットがそれぞれの位置情報からロボットと障害物の位置関係を操作コンソールのマップ画面に表示。ロボットを操作する際、障害物との干渉の可能性がある場合は、操作員へのアラームメッセージの表示にて注意喚起するなどの操作サポート機能を有している。
本システムに活用するモニタリングロボットシステムは、日立GEニュークリア・エナジーが調達、このシステムは日立のワイヤレスインフォ統括本部で開発したVHF帯にてロボットを遠隔操作するための無線通信モジュールを搭載している。