三菱マテリアルは2月13日、ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などのDC/DCコンバータ、太陽光発電や風力発電のパワーコンディショナおよびエアコンなど省エネ家電用インバータの静音化、高効率化に寄与するリアクトル用圧粉成形コアを開発したと発表した。
従来、DC/DCコンバータなどに使用されるリアクトルコアには0.1mm厚の高級電磁鋼板が使用されてきたが、電磁鋼板が高価であることに加え、多数枚の積層が必要となるため製造コストが高くなること、製品形状に制約が大きく小型化が困難なことなどから、現在は圧粉成形コアの採用が進んでいる。しかし、現状の圧粉成形コアは、リアクトルコアとして使用したときにDC/DCコンバータなどのIGBTやMOSFETのスイッチング動作に伴う騒音が発生し、自動車や住宅などの居住空間の快適性を損なうといった問題があった。そこで今回、そうした問題を解消することを目的に、騒音が小さくかつ鉄損(動作時にコアの発熱として失われるエネルギー)が小さい圧粉成形コアを開発したという。
具体的には、鉄損が小さいことを特徴とする独自の高耐熱MgO系絶縁皮膜を施した純鉄粉末をベース材料に、騒音の原因となる圧粉成形コアの磁歪(リアクトルに電流を流したときにコアが伸び縮みする現象)を低減するために配合する合金粉末の組成、粒度を最適設計するとともに、バインダ添加プロセス、成形・熱処理プロセスを見直した。
実際に今回開発された圧粉成形コアをDC/DCコンバータのリアクトルに搭載して従来製品と比較したところ、リアクトルから発生する騒音が最大約13dB程度低減されると同時に、従来以上に高い電源効率が得られることが確認されたという。
なお同社では同圧粉成形コアを用いることで、これまで以上にさまざまなパワーエレクトロニクス分野に応用が可能になるとコメントしている。