パナソニックは2月12日、同社が提供する結晶系Si太陽電池「HIT太陽電池」において、実用レベル(101.8cm2)の結晶系Si太陽電池としては世界最高の変換効率となる24.7%を達成したことを発表した。
HIT太陽電池は、発電層である単結晶Si基板表面に高品質のa-Si層を積層することで、キャリア(電荷)の再結合損失を低減することで高い発電効率を実現しているが、今回、単結晶基板上に、従来以上に高品質なa-Si膜を基板表面へのダメージを抑制しながら形成する技術を確立することで、キャリアの再結合損失を低減し、開放電圧(Voc)を従来の0.748Vから、0.750Vへと改善することに成功した。
また、単結晶Si基板を覆うa-Si層および透明導電膜層の光吸収損失を低減するとともに、セル表面のグリッド電極の面積を減少させることで遮光損失も低減。これにより、短絡電流密度(Jsc)を38.9mA/cm2から39.5mA/cm2へと改善することにも成功した。
さらに、高アスペクト化などのグリッド電極の改良を行うことで、電流がグリッド電極中を流れる際の抵抗損失の低減に成功。この結果、曲線因子(FF)を0.822から0.832へと改善した。
これらの技術を組み合わせた結果、HIT太陽電池の過去最高値(23.9%)を0.8ポイント、これまで実用サイズ(100cm2以上)で報告されている単結晶Si太陽電池の最高値を0.5ポイント上回る24.7%を実現したという。また、セルの厚みは98μmを実現しており、この厚みでの実現は低コスト化の観点でも意義は大きいと同社では説明しており、今後も他社との差別化戦略としての高効率化と低コスト化の両立を推進していく技術につながるとしている。