ネットワンシステムズは2月4日、自社のシステム基盤を刷新したことを発表した。システムリソースの最適化、運用業務効率の向上に加えて、先進的インフラ構築ノウハウの蓄積も目的として挙げており、ネットワーク機器には、Cisco NexusシリーズとBrocade VDXシリーズという2ベンダーの製品を混在させている。
ネットワンシステムズ システム企画グループ システム企画本部 プラットフォーム部 サービス開発チーム 古森浩一氏 |
ネットワンシステムズではこれまで、2009年から2011年にかけて仮想化による物理サーバの統合を実施。各拠点で稼働していたサーバを東京のデータセンターに集約し、TCO削減を実現していた。
しかし、統合作業を業務ごとに漸次進めたことなどから、仮想デスクトップやポータルサイト、業務システム、メール、ファイルサーバなど、7種類のシステムが個別に稼働。いずれも仮想化基盤にはVMware vSphereを使用しているものの、「業務ごとにバージョンが異なるため、リソースの共有や仮想マシンの移動などが行えず、サイロ化の状況が続いていた」という。
今回の刷新では、メールを除く6つの業務において、ハイパーバイザーのバージョンをVMware vSphere 5に統一。業務をまたがった統合インフラを構築し、さらなる効率化を測っている。
また、ネットワーク環境に関しては、CiscoとBrocadeそれぞれのファブリック型製品を導入し、それらを組み合わせた構成に変更した。ファブリック型の製品にしたことで、「スケールアウトが容易になるうえ、ダウンタイムが1秒以下になるなどの改善が行えた」と言い、2社製品の組み合わせに関しては「構築ノウハウの蓄積を目的としたトライアルも兼ねており、さまざまな気づきがあったが、問題なく稼働することが確認できた」という。
さらに、リニューアル実施前には、ネットワークを流れるデータ量についても調査。「各種の仮想化技術により、詳細な通信データ量の確認が難しい状況にあったが、調査の結果1Gbps回線では厳しいことがわかった」とし、今回のリニューアルでは、10Gbps環境を導入している。同時にVMware vSphere 5の機能を使い、仮想サーバ間のトラフィックも見える化し、有事の対応や増設の検討などが行いやすい環境を構築している。
併せて、同社は運用体制も刷新。業務担当、サーバ・ストレージ担当、ネットワーク担当、メール担当など、細かく分かれていたが、インフラが共通化したことに伴い、同一部門で運用する体制を敷いたという。
そのほか、発表会では、移行作業やストレージ設計にも触れられた。データ移行ツールの選定や、ハイパーバイザー/ツールのバージョンアップ手順次第で作業時間を大きく短縮できること、EMCのFAST VP(自動階層化機能)によってコストを抑えつつパフォーマンスを確保できたことなども紹介した。
同社は今後、バックアップ向けに使用されている大阪地区のデータセンターを拡張し、東京/大阪間でアクティブ/スタンバイの環境を構築予定。さらに将来的には、アクティブ/アクティブ環境へと移行し、両データセンターのリソースをシームレスに活用できる環境の構築を目指すとしている。