富士通と同社100%子会社の富士通セミコンダクター(FSL)は2月7日、半導体事業の再編と方針として、設計・開発部門と製造部門を切り離し、設計・開発部門をパナソニックと統合するほか、Taiwan Semiconductor Manufacturing(TSMC)とファウンドリ企業を設立し、300mmウェハ対応工場である三重工場を新会社に移管する方針を決定したと発表した。
FSLは、2009年にファブライト型の事業モデルへの移行を表明し、先端プロセス開発投資の凍結と40nmプロセス以降のTSMCの活用、ならびに製造拠点の再編を進めてきた。
今回のTSMCとの新ファウンドリ企業設立もそうした流れに沿うもので、自社の設計・開発部門が切り離されることを機に、カスタマに今後も高品質な先進半導体製品を安定的に提供するとともに、グローバルな半導体市場において高い競争力を発揮し、持続的に発展できる新たな事業モデルを構築することを目的に決定されたという。
FSLはすでに2012年10月1日付でデンソーに岩手工場(前工程)を、2012年12月21日付でジェイデバイスに各後工程工場をそれぞれ譲渡しており、今回の三重工場の新会社への移管により、基盤系の三重200mmライン、会津若松150mmライン、富士通セミコンダクターテクノロジの200mmラインが残されることとなる。これらの工場は固定資産の減損処理が行われた後、稼働率の改善が課題となっている基盤系工場は、会津若松地区へ集約し、生産能力や人員規模の適正化を行い、稼働率を向上させて経営を安定化させる方針としている。
また、車載、産業、民生向け汎用マイコン、パワーマネジメントLSIなどに注力してきたマイコン・アナログ事業については、カスタマへの安定的な供給とビジネスの発展を目指し、今後、あらゆる可能性を検討して進めていく方針としている。
なお、今回の半導体事業の再編により、富士通の平成25年3月期 第3四半期決算として特別損失570億円を計上しているほか、同第4四半期においても約550億円を見込んでいる。また、単独業績予測に与える影響としても、同第3四半期に、関係会社株式評価損1654億円を計上したほか、同第4四半期においても引き続き半導体事業の構造改革を進めるために、FSLについて、追加の株式評価損が発生する可能性があるとしている。