海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2月5日、東南海地震の想定震源域である紀伊半島沖熊野灘の海底下の掘削孔に設置されている長期孔内観測装置を、同海域において展開・運用している地震・津波観測監視システム(DONET)に接続し、観測装置で取得したデータをリアルタイムで受信することに成功、今後の研究活動などに活用可能な観測が行えることを確認したと発表した。

これにより、微小な地震動や地殻変動に伴う海底下の歪みや温度、圧力などの変化と巨大地震発生との関連性に関する研究が可能となり、地震発生メカニズム解明に資する知見の獲得が期待されるとJAMSTECでは説明している。

また、陸上や海底面に設置する観測装置では捉えにくい微小な地震動や地殻変動をリアルタイムで捉えることができるようになることから、今後の防災・減災対策へのデータ利用が期待されるともコメント。

今後は、長期孔内観測装置から得られるデータの品質に係る詳細な検証を行っていくとともに、東南海地震の想定震源域で地震観測を行っている関係機関へのデータ配信に向けて調整を進めていく予定とするほか、同海域の他地点においても長期孔内観測装置を設置し、同様にDONETに接続していく予定だとしている。

DONETに接続した長期孔内観測装置内の広帯域地震計(Broadband X,Y,Z)、歪計(Strain)、傾斜計(Tilt X,Y)、間隙水圧計(Pore-fluid Pressure)による長周期地殻変動データ(2013年1月27日~2013年1月28日)。潮汐の影響による海底地殻変動が捉えられていることが分かる

DONETと長期孔内観測システム位置図と長期孔内観測システムのセンサー構成図。長期孔内観測システムは、図中のC0002(尾鷲市から南方90kmの沖合、水深1938mの地点)に設置されている。全長約1000mの観測システムで、深度980mの部分の間隙水圧計、深度900mから920mの部分の歪計、広帯域地震計、傾斜計、深度830mから780mの部分の温度計のセンサから構成されている