ジェネテインと京都大学(京大)物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)は2月5日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトとして、ES/iPS細胞などの幹細胞の「エピゲノム解析」に必要とされる「メチル化DNA免疫沈降(MeDIP)」、「ヒドロキシメチル化DNA免疫沈降(h-MeDIP)」、「クロマチン免疫沈降(ChIP)」などのサンプル自動調製システムを完成し、これを用いて幹細胞のメチル化・脱メチル化解析を行う方法を開発したと共同で発表した。

成果は、iCeMSの中辻憲夫教授・設立拠点長らの共同研究グループによるものだ。

ES/iPS細胞はさまざまな細胞に分化する能力を有しているため、適切な誘導を行うことができれば、さまざまな細胞へ分化させることが可能であることから、次世代医療技術として実用化が期待されている。しかし、そうしたヒト幹細胞を産業利用につなげるためには、「品質の確保されたヒト幹細胞の安定的な大量供給」を可能とすることが求められており、各所で研究が進められている。NEDOも「ヒト幹細胞実用化に向けた評価基盤技術の開発」として研究を進めており、ヒト幹細胞の産業利用促進の基盤となる、品質の管理されたヒト幹細胞の安定的な大量供給を可能とする基盤技術の開発が進められている。

その研究を実際に行っている研究チームの1つが中辻教授らであり、具体的には品質の管理されたヒトES細胞を安定的に大量供給する技術開発として、自動培養技術の開発や培養液・培養基材の開発、ヒトES細胞の品質評価指標の開発などが行われている。

今回の共同研究では、京大再生医科学研究所より提供された3種類の性質の異なるヒトES細胞株由来の検体について、開発されたシステムを用いてMeDIP、h-MeDIPを同時に実施し、得られたサンプルのマイクロアレイ解析データについて、これらES細胞のメチル化、脱メチル化の遺伝子パターンを比較することで、3種のES細胞株の違いを識別することに成功したという。

なお、研究チームでは今後、ES/iPS細胞など幹細胞株の品質評価において重要度が増しているエピゲノム解析による標準的評価システムの確立を目指すとしている。

画像1。エピジェネティクス サンプル自動調製システムの外観

画像2。同プラットフォーム