環境省は2月1日、汽水・淡水魚類に関する新たなレッドリスト(第4次レッドリスト)を発表した。レッドリストは、絶滅のおそれのある野生生物の種をまとめたもの。環境省は2008年度から、レッドリストの見直し作業を進めてきた。

今回の見直し作業により、絶滅のおそれがあるとして第4次レッドリストに掲載された種の数は、全10分類群合計で3597種となった。

レッドリストでは、以下のカテゴリー(ランク)によってそれぞれの種が評価されている。

  • 絶滅 (EX)…我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
  • 野生絶滅 (EW)…飼育・栽培下、あるいは自然分布域の明らかに外側で野生化した状態でのみ存続している種
  • 絶滅危惧I類 (CR+EN)…絶滅の危機に瀕している種
  • 絶滅危惧IA類(CR)…ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
  • 絶滅危惧IB類(EN)…IA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
  • 絶滅危惧II類 (VU)…絶滅の危険が増大している種
  • 準絶滅危惧 (NT)…現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
  • 情報不足(DD)…評価するだけの情報が不足している種
  • 絶滅のおそれのある 地域個体群 (LP)…地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

今回のレッドリストにおける注目すべき変更点として、「クニマス」や「ニホンウナギ」、「ドジョウ」の変更が挙げられている。

クニマスは「絶滅(EX)」から「野生絶滅(EW)」になった。2010年に、本来の自然生息地とは異なる西湖で発見された「ヒメマスとは異なる遺伝的・形態的特徴を持つ個体群」が、専門家の見解や詳細な遺伝子解析をもとにクニマスと判断されたことが大きな理由となっている。

ニホンウナギは、海域で一生を過ごす個体と、海域から河川に遡上し成長した後、産卵のため再び海域へ下る個体の存在が知られているが、河川に遡上する個体が産卵に寄与しているかなど、生態に関して不明な部分が多いことからこれまでは「情報不足(DD)」に分類されていた。しかし今回、河川へ遡上する個体が産卵に大きく寄与していることが明らかになり、「絶滅危惧IB類(EN)」になった。

ドジョウは、今回新たに「情報不足(DD)」のカテゴリーに加えられた。ドジョウは一般的にもなじみ深い種だが、日本各地で放流や飼育施設などから逃げ出したと思われる国外産のドジョウ(遺伝的に国内のものと異なる)や外来種であるカラドジョウが見つかっており、交雑や種間競争等による影響が懸念されているという。

今回更新されたレッドリストは、環境省のホームページよりダウンロードできる。環境省は今後、レッドリスト掲載種について解説したレッドデータブックの改訂作業を進め、2014年に公表する予定。