スカパーJSATおよびiDeepソリューションズは1月31日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超高速インターネット衛星「きずな(WINDS)」の社会化実験として、iDeepソリューションズが提供するクラウド型コラボレーションシステム「TeleOffice」による検証実験を実施したことを発表した。

TeleOfficeは、複数の拠点からオンラインでコラボレーションを進めることができるシステムで、インターネットを通じてPC・タブレット端末・スマートフォンなどから場所を問わず会議に参加することができ、ビデオ会議・ホワイトボード・資料などをリアルタイムに共有することができるほか、衛星通信と組み合わせることで、災害避難所の被災状況をリアルタイムに情報共有するツールや、企業のBCP対策ツール、プラントや工事現場などと本部との情報共有ツールとして利用することが可能だ。

今回は、きずなの2Mbps双方向回線とPC、タブレット端末を用いて、「災害時における対策本部と現地間での被害状況の写真や動画などの情報共有、オンラインホワイトボードを利用した安否確認情報の即時アップデート」、「建設業におけるアプリケーション共有機能を用いた本社と現場のリアルタイム作業確認」、「遠隔地との打ち合わせにおける本社待機人員による営業支援」などの複数の利用シーンを想定した実験をPC1台とiPad2台の計3台を用いる形で行われ、いずれにおいても同システムの有効性が確認されたという。

今回の実証実験のイメージ

実測は上り1.7Mbps/下り1.3Mbpsの伝送速度で、衛星回線の遅延対策としてWAN高速化装置によるアクセラレータ環境下ではレスポンス良く、資料共有、ビデオ会議においてもリアルタイムな会話ができ、ユーザー視点で違和感なく実用で使えることが確認されたという。

災害時における対策本部と現地間での被害状況の写真や動画などの情報共有デモの様子。タブレット端末で撮影した画像を即時にアップロードし、複数拠点で状況を確認したり、本部から指示を出したり、ビデオ会議機能を使い、複数の被災現場から同時にリアルタイムでレポートすることなどができる

また、災害時などで地上回線が利用できない場合や、地上回線が敷設できない遠隔地あるいは工事現場などとのコミュニケーションでは、企業の事業継続(BCP)において衛星通信が利便性を発揮することも確認されたとしている。

オンラインホワイトボードを利用した安否確認情報の即時アップデートの様子。オンラインホワイトボード機能を使うことで、複数の被災地と本部の間で、同時にリアルタイムで安否確認情報を書き込み・確認を行うことができる

書き込み機能を利用した複数拠点間でのリアルタイム作業確認の様子。本社と研究開発拠点などの間で、資料に書き込みをしながらビデオ会議を行うことができる。書き込み用のペンは色や太さが複数種類用意されており、複数拠点で書き込みしても、誰が書き込んだのか、などをわかりやすくすることができる

なお、スカパーJSATでは、自社の衛星通信サービス「ExBirdサービス」などとの連携も視野に入れた、同システムと同サービスとの接続検証実験も実施しており、今後も、衛星通信の強みであるBCP・災害対策ソリューションの拡充を引き続き進めていくとしている。