千葉県柏市は31日、ICTを活用して日常の健康状態を見える化するサービスの実証事業「柏の葉スマートヘルス」プロジェクトを、柏の葉スマートシティにおいて2月2日から開始すると発表した。
同プロジェクトは先日行われた総務省のICT街づくり推進会議で、総務省が主導するICTを活用した街づくりプロジェクトとして採択されており、三井不動産、イーソリューションズ、日本HP、メディシンクといった企業が同プロジェクトに参画している。
発表会では、千葉県柏市長 秋山浩保氏が登壇し、柏市の現状を語った。秋山氏は国の成長戦略を実現するための2つの制度である「環境未来都市」と「地域活性化総合特区」の対象地域としてダブルで指定されていることを紹介し、「柏の葉スマートシティ」モデルを早期確立して全国・世界へ展開していきたい」と強調した。
そして高齢化社会の到来による地方自治体の社会保障費負担増といった問題に対する解決策として、「住民自らが自立的に健康管理を実践できる社会インフラの構築が必要」と解決策のひとつを提示した。そして「年に一回健康診断を行ってもらうだけが行政の仕事ではない」と現状の行政課題に対する姿勢を示し、今回のプロジェクトを高齢化社会の健康に対するひとつの解決策として、プロジェクトの存在意義を強調した。
同プロジェクトでは、日立システムズが協力して作成しているリストバンド型ライフレコーダー(活動量計)や通信機能付き体組成計といったデジタル健康機器をICTネットワーク経由で健康データ分析システムに連携させ、パソコンやスマートフォンで利用者の健康状態を表示するサービスを提供する。同サービスを利用することで、運動量や消費カロリー、体脂肪率などの基礎健康データだけでなく、睡眠や活動内容など24時間の生活リズムまで細かく確認でき、現在の健康状態や体調変化の原因が利用者自身が簡単に分かるようになる。
「柏の葉スマートシティ」は、病気になってから治療するのではなく、病気にならないための自発的な健康増進・疾病予防を促す予防医療プログラムを提供することで、市民の健康レベルを上げて社会保障費の削減を実現する新たな街づくりモデルを目指す。同サービスは健康長寿都市を目指す「柏の葉スマートシティ」の主要プログラムとして発展させていくために、まずは約1ヵ月間の実証事業として住民から参加モニター合計150名を募り実施。モニターにはサービスの利用に必要となる機器やアプリケーションを無償貸与し、サービス利用を通じた健康増進効果を検証していく。
実証期間は2月2日から3月10日までの期間行われ、今年度の実証事業として効果検証される。総務省の進めるICT街づくりプロジェクトとしては今年度で一度効果検証されるが、担当者の1人は「来年も総務省のプロジェクトとして引き続き実証実験を精力的に行っていき、2014年にはビジネス化をしたい」とプロジェクトに対する思いを述べた。