ルネサス エレクトロニクスとジェイデバイスは1月30日、ルネサスの100&子会社であるルネサス北日本セミコンダクタ(北セミ)の函館工場、ルネサス関西セミコンダクタ(SKS)の福井工場およびルネサス九州セミコンダクタ(九セミ)の熊本工場、ならびに北セミの100%子会社である北海電子が行っている半導体後工程製造事業をジェイデバイスへ譲渡することで基本合意に達し合意書を取り交わしたことを発表した。

ルネサスは、2012年7月に経営立て直しに関する取り組みを公表しており、収益基盤の強化に向け、国内の生産拠点の再編を進めてきており、国内の後工程生産拠点についても、高付加価値製品対応を中心とし、アウトソーシング比率および海外拠点の生産比率を高めていくという生産戦略の見直しが行われ、高付加価値品の生産を行う北セミの米沢工場およびルネサス九州・山口セミコンダクタの大分工場の維持・強化を図りつつ、北セミの函館工場、SKSの福井工場、九セミの熊本工場などの付加価値製品の製品を担当していない拠点については、1年をめどに譲渡を検討する拠点と位置づけられ、対象拠点における競争力の強化、高品質・高信頼製品の継続的な供給、ルネサスとの長期的なパートナーシップの構築が期待できる譲渡先の検討が進められてきた。

一方のジェイデバイスは、国内最大の独立系半導体後工程受託会社であり、今後の事業成長を図っていくためには、海外の競合メーカーと同等かそれ以上のコスト競争力を達成することが必要不可欠となっており、そのための事業規模の拡大が求められていた。

今回の基本合意は、そうした両社の思惑が一致したもので、両社の長期的なパートナーシップの構築の第一歩として位置づけられるものとなっている。具体的には、ルネサスの譲渡対象拠点ならびに北海電子の半導体後工程製造事業を、2013年6月上旬をめどにジェイデバイスに譲渡する計画で、各工場の従業員は、個別同意による転籍を前提に、一定期間の出向となる予定となるほか、事業譲渡後も、生産委託という形で各拠点にてルネサスの製品が製造されることとなる。

この結果、ジェイデバイスは従来の7拠点(大分県臼杵市、大分県杵築市、宮城県柴田郡、福島県会津若松市、福岡県宮若市、大分県大分市、鹿児島県薩摩川内市)に、3つの製造拠点を擁することとなり、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)としては世界シェアでトップ5に入る規模となる見込みだという。このためジェイデバイスでは、ルネサスとの長期的な戦略的パートナーとして得られる事業規模の拡大、技術力の融合、ラインアップの拡充などにより、コスト競争力、技術力、品質力のさらなる向上を図り、世界トップクラスの水準を有するOSATとして、半導体産業の発展に寄与していきたいとコメントしている。

なお、今回の譲渡の具体的な方法などの詳細については、現在協議中であるという。