富士フイルムは1月28日、大型液晶テレビに使用される「超広幅フジタック」を生産する富士フイルム九州 第4工場 第8ラインを1月23日より稼働させたと発表した。

第8ラインでは、「超広幅フジタック」の中でも、大型液晶テレビで最も多く採用されているVAモードの液晶パネルの視野角拡大やコントラスト向上に寄与する「VA用フィルム」を生産する。また、同第7ラインも3月より稼働を開始する予定。第7ラインでは、IPSモードの液晶パネルにおいて、斜め方向から画面を見た際の色味変化を抑える機能を持つ「IPS用フィルム」や、偏光板保護フィルムとしてあらゆるモードの液晶パネルに広く使用されている「プレーンタック」を生産する。これらの稼働により、フジタックの年間生産能力は合計8億2000万m2となり、このうち、超幅広品の能力は2億8500万m2となる。

液晶パネルの市場では、現在タブレットPCやスマートフォン向けの中小型パネルの需要が急激に伸びているが、これまで液晶パネル市場を牽引してきた大型パネル需要も安定的に拡大している。また、液晶テレビは、大画面化の進展とともに、画面面積が年率2桁成長しており、今後も成長が見込まれている。

今回稼働させた富士フイルム九州 第4工場 第8ラインと、3月に稼働を予定している同第7ラインの両ラインでは、超広幅フジタックを生産し、40型以上の大型液晶テレビの効率的な生産に寄与するという。第7ラインでは、これまでで最大の幅となる2500mmのフィルムの生産が可能。第4工場は、生産工程でのエネルギーの効率活用を追求し、新たに増設した天然ガスコージェネレーション設備による自家発電の電力で稼働する先端工場となっている。第8ラインでは、生産するフィルムの超広幅化、ラインのスピードアップとともに、生産工程で発生する蒸気・温水を徹底して再利用するなどの省エネルギー対策を行うことで、単位面積あたりのエネルギー使用量を従来の半分まで減らしている。

また、神奈川工場(フラットパネルディスプレイ材料生産部)足柄サイトにある1ラインを中小型ディスプレイ向け製品開発および生産のための専用ラインとし、1月より25μmのフジタックの量産を開始したことも併せて明らかにしているほか、富士フイルムオプトマテリアルズにおいても、新たに中小型ディスプレイ向け製品の開発および生産体制を整え、薄型のIPS用フィルムなど、需要が急拡大するタブレットPCやスマートフォン向けの薄型フィルムの新製品開発、および生産を強化していく方針としている。