浜松ホトニクス(浜ホト)は1月24日、従来法のコロナ放電方式に比べ、同等の低コストでありながら高性能、省スペースを実現した静電気除去装置として、長尺ユニットタイプのフォトイオンバー「L12536」を開発したと発表した。

同製品は、微弱X線の光電離(フォトイオナイゼーション)により、両極性イオンを生成して帯電した対象物の静電気を瞬時に除去する長尺対応型のユニットとなっている。生産ラインに合わせて、最大10ユニットで2m幅(推奨)まで連結して設置できる。これにより、液晶・有機ELや太陽電池、半導体、フィルム、食品、医薬品などの生産工程で帯電を除去して塵の付着を防ぎ生産性を向上することが可能になるという。

今回、従来の微弱X線照射方式の性能をそのままに、X線管と電源を新たに開発することで価格を1/6にし、コロナ放電方式と同等のコストパフォーマンスを実現した。微弱X線照射方式は、次世代ディスプレイや太陽電池のプラスチック基板などの製造に期待されるロール・ツー・ロールプロセスにおいて、欠かせない技術と言われている。同方式は、コロナ放電方式で生じる逆帯電がないため、対象物との距離を30cm以内に設定できることや、コロナ放電方式に必要なイオンを送風するファンが不要となることから、生産ラインの省スペース化を実現することができる。

また、X線管の窓材に使われている環境管理物質のベリリウムに代わる代替金属を採用することで、環境負荷を低減したほか、最大10ユニットに給電する連結機能、寿命末期を知らせるアラーム発信と無給電時でもLEDを点灯する機能の搭載。DINレールアタッチメントで取り付け・取り外しが容易であり、3.3mm厚のアクリル板カバーで微弱X線の遮へいが可能など、使い勝手を向上させている。

なお、サンプル価格はフォトイオンバーの「L12536」が10万5000円、コントローラの「C12537」が 8万4000円。年間の販売数量は1年目が1500台、3年後には3万台を目指すとしている。

フォトイオンバー「L12536」の3ユニット連結事例。右上はコントローラ「C12537」