フラッシュメモリストレージベンダの米Violin Memoryは1月21日、都内で会見を開き、日本法人「ヴァイオリン・メモリー」を設立し、日本地域における本格的なビジネスを開始したことを発表した。
同社は2005年に設立されたフラッシュメモリアレイを用いたストレージベンダ。「従来のHDDではなく、フラッシュメモリを活用することで、自分たちの持つデータの中から、より有効なデータを欲するカスタマに高い性能のストレージを提供することが可能となる」と米国Violineのソフトウェア担当CTOであるジョナサン・ゴルディック氏は語る。
また同氏は、「過去50年、HDDは容量は肥大化してきたが、CPUやメモリのデータ転送スピードについてこれなくなってきている。また、熱問題の解決や低消費電力の実現も求められるようになってきており、そうしたスピードと電力、省スペースといった課題を解決することが可能になるストレージがフラッシュメモリベースのストレージだ」と、自社製品の特長を説明する。
同社のカスタマはすでに300社を超しており、米国の政府系機関やeBay、AOL、J.P.Morganなど大手企業も活用しているほか、最大の出資者として東芝が名を連ねており、Violinのストレージ製品には東芝のフラッシュメモリが用いられている。「我々はSSDベンダではない。Violinのシステムは東芝のNAND型フラッシュメモリをベースに開発されており、マイクロ秒での処理を実現できるシステムを実現している」(同)とのことで、システムは、東芝のフラッシュメモリを多数搭載した「VIMM(Violin Intelligent Memory Modules)」を4チャンネルのバーチャルコントローラ(VC)でvRAIO(Virtual RAID)を構成し、さらにそれをアレイコントローラ(AC)で処理するという構成となっており、それぞれがコンポーネントとして提供される。筐体は3Uで、各コンポーネントはすべてホットスワップ構成となっている。
さらに同氏は「目標は基幹系では、EMCのVMAXを置き換えること」とし、フラッシュベースであり、バッテリが不要となるなど、一切の障害単一点を持たないメリットがあることを強調。性能面でも、100万IOPS以上の性能を6U(3U×2)のストレージと64GBのメモリ、1台のサーバで実現でき、既存システムからストレージ容量の90%削減、電力の90%削減、サーバ数およびそれに伴うOracleなどのライセンス費用の削減が可能になるとした。
フラッシュメモリ、VIMM、vRAIDそして各コンポーネントを統合したシステムという構成で、現在、Violin3200シリーズおよびViolin6200/6600シリーズが提供されており、これらのシステムを活用することで既存のストレージシステム比で、スペース、電力、サーバ数、ソフトウェアのライセンス数などを削減することが可能になるというのが同社の主張するところである |
また、日本市場にむけては、販売代理店としてSCSK、東芝ソリューション、マクニカネットワークスの3社と、グローバルOEMパートナーとして日本ヒューレット・パッカードにより販売が行われる。市場特性としては、低レイテンシおよび高IOPSの製品が欲しいというニーズが強く、今後5年ほどでデータセンター内のHDDの多くがフラッシュメモリに置き換わっていく動きがでてくると見ており、それに合わせる形でストレージもHDDから置き換えを進めてもらい、シリコンデータセンターが実現されるようになるとの見方を示す。
また、すでにかなりのカスタマで導入および評価が進められており、用途としても、データベースの高速化(IOPSを少ないシステムで出していきたい)、ビッグデータ(リアルタイムの分析・解析が重要になってきている)、バッチ処理の高速化、クラウドサービスの付加価値、VDIのブートストームの解消、そしてオンラインゲームなど多岐にわたるとのことで、どうやってこうした点であるビジネスを面に変化させていくかが今後の成長のポイントとし、現在のビジネス規模が米国の10%程度であることから、それをできる限り早い時期に高い値へと引き上げていきたいと意欲を示した。