テクトロニクス社は1月23日、高い信号検出/トリガ機能を搭載した、ミッドレンジクラスの価格帯のリアルタイム・シグナルアナライザ(スペクトルアナライザ:スペアナ)「RSA5000シリーズ」として15GHz帯域対応製品「RSA5115A型」、26.5GHz対応製品「RSA5126A型」の2機種を追加したこと、ならびに既存の3GHz品「RSA1503A型」ならびに6GHz品「RSA5106A型」の価格を30%引き下げたことを発表した。

スマートフォンやタブレットの普及、そしてクラウドの発達などによりRF機能を搭載した機器が爆発的に増えてきているが、そうした機器は1つの無線規格ではなく、複数の規格を採用しているほか、高速な通信速度を実現するために必要とする帯域を広く利用するなどの技術が用いられるようになっている。また、より接続機器の増加による周波数帯の過密化を避けたり、より高速な通信などを実現することを目的に、高い周波数の利用も進みつつある。

今回発表された2製品は、ミッドレンジクラスの価格帯ながら、最大で他社製品の2倍以上の帯域幅となる110MHzの帯域幅でのリアルタイムの解析を実現するオプションも用意されている。

最大で1Hz~26.5GHzまでの周波数帯域をカバーしており、リアルタイム対応機能として、「DPXスペクトログラム」「DPXゼロ・スパン」「DPX Density Trigger」「DPX 掃引」などを搭載。DPXライブ表示機能により、頻度の高い信号と、頻度の少ない信号、そしてほぼ発生しないが、まれに発生する信号などを色別に分けて表示。これにより、一目でどの信号の頻度が高いのか、を見て取れるようになったほか、従来であればノイズフロアの中に埋もれてしまうようなノイズであってもはっきりと確認できるようになった。

また、DPX掃引機能を活用することで、全周波数範囲において最小信号期間3.7μsでライブスペクトラムを解析することが可能(29万2000スペクトラム/秒)であるほか、DPXゼロ・スパン機能により振幅、周波数、位相の変動を5万回/秒で更新することが可能となっている。

さらにタイムクオリファイ機能により、周波数マスク、ラント/時間クオリファイが可能となっているほか、信号にトリガをかけた後、110MHzの帯域幅であっても最長7秒まで信号を取りこぼすことなく信号の取り込みが可能となっている。

RSA5115A/5126A型の概要

同社では、これらの製品の主な適用分野として、無線LAN、Bluetooth、電子レンジなどISM帯を利用する機器の相互干渉を観察することによる誤作動防止に向けた設計課題の解決や、電波の監視、26.5GHzの利用が増えてきているレーダーでの利用などを想定しているという。

RSA5126A型の外観

左が実際の室内における2.4GHz帯域の電波状況をDPXスペクトログラム表示したもの。左画像の左側が従来のスペアナの測定画面を表示したもの(1秒間に20回程度の更新)、右側がDPXスペクトログラム表示で、こちらは1秒間に29万2000回以上の更新頻度で表示されている。また、従来、Max Holdでピークを測定するが、その場合、リアルタイムでの測定はないため、今現在、実際に電波がでているのか消えているのか、といったことは分からなかった。DPXスペクトラム表示であれば、リアルタイムでそういった瞬間で発生する電波を見ることができるようになる。また、リアルタイム表示ながら、ゼロスパン測定や時間解析なども可能となっているほか、これまで取り込んでいるデータを後からリプレイさせて観測することも可能だ。さらに、電波密度トリガ機能を用いることで、時間軸の存在確率が何%か、(例えば10%であれば100秒はかった際の存在確率が10%となる)といった定量化ができるようになっている。加えて、測定範囲に電波が飛び込んできた際に自動的にトリガをかける、といったことも可能となっている

なおRSA5000シリーズ(4製品)の価格は以下のとおり。

  • RSA5103A型(3GHz品):298万円(税別)
  • RSA5106A型(6GHz品):418万円(税別)
  • RSA5115A型(15GHz品):516万円(税別)
  • RSA5126A型(26.5GHz品):576万円(税別)

RSA5000シリーズと対応オプションの価格(いずれも税別)。なおオプション番号51のpreampに対応する型番が5106/5013となっているが、これは5115/5126の誤表記とのこと