富士通研究所(以下、富士通研)は1月21日、PC画面を携帯電話やタブレットなどで撮影するだけで画面に表示されているファイルをPCと携帯電話間で転送可能とする技術を開発した。
開発したPC画面向け映像媒介通信技術は、通信情報を目に見えないようにPC画面にリアルタイムで重畳する技術で、IPアドレスやSSID、もしくはそれらに関連付けされたIDなどの、ネットワーク上にあるPCを識別するための情報を通信情報とし、同情報の重畳には映像媒介通信技術を使用。
映像媒介通信技術とは映像に微小な灯りを重畳し、その微小な灯りの数を増減させることにより光通信のような明暗を緩やかに発生させて情報を送信する技術となっている。この技術を用いて通信情報を人の目には見えない信号に変換して、PCのデスクトップに重畳。デスクトップ上で重畳するため、オリジナルのファイルには手を加える必要はない。これにより、PC画面を携帯電話のカメラで撮影するだけで被写体のPCを特定する。
また、PC画面上に表示されているファイルを常に監視し、携帯電話からのファイル転送要求時に画面に表示されているファイルを携帯電話に自動転送する。PCにインストールした専用ソフトウェアが、PC画面に表示されているファイルを監視。
PCの専用ソフトウェアはPCのデスクトップの状況を解析し、PC画面の最前面に表示されているファイル情報を抽出。携帯電話からファイル転送の要求が届くと、最前面に表示されているファイルをFTPSなどのセキュアなファイル転送プロトコルを利用して携帯電話に転送する。
本技術により、ファイルを選択するなどの複雑な操作を必要とすることなく、PC画面を撮影するだけで簡単にファイルを転送することが可能となる。
これにより、PCと携帯電話間でファイル転送を行う際に、従来はファイル一覧メニューから特定のファイルを探して選択するなどの複雑な操作が必要であったものを、画面を撮影するだけで簡単に行えるようになる。例えば、会議中にプレゼン資料が投影されているスクリーンを複数の人が同時に撮影してプレゼン資料を個々の携帯電話にダウンロードしたり、携帯電話で撮影した写真をPCに転送するといった利用が期待される。