小笠原諸島・聟島(むこじま)から巣立って里帰りした絶滅危惧種のアホウドリの雄と野生の雌との間で昨年11月に生まれた卵について、山階鳥類研究所は、未受精卵だったことを発表した。
産卵は昨年11月14日の監視カメラの映像で、雄雌のペアと巣の中に卵1個があるのが確認された。卵は順調ならば今月17 日にもふ化し、ひなの誕生が期待されたが、その後間もなく雌が巣を飛び立って戻って来ないまま、雄だけが約2カ月間も抱卵する状態が続いていることが分かった。そのため同研究所員が現地を調査し、卵の状態を確認した。卵は持ち帰って詳しく調べる。
アホウドリが生息している伊豆諸島・鳥島は活火山で噴火の恐れがあり、繁殖域の地形の浸食も進んでいる。このため同研究所や環境庁などは、聟島に新しい繁殖地をつくるプロジェクトに乗り出し、2008年2月から12年2月までに計70羽のひなを聟島に移送し、うち69羽を巣立たせることに成功した。
巣だったアホウドリはベーリング海やアラスカ沿岸、米国西海岸まで飛来するとみられ、昨年“父親”となった雄は、足環から2008年に聟島から巣立ったことが分かった。
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