アドビ システムズは1月18日、同社の「Adobe Marketing Cloud」において、企業のソーシャルメディアマーケティングを支援するソリューション「Adobe Social」の国内提供を開始した。

Adobe Socialはグローバルではすでに展開しており、ソーシャルメディアでのコンテンツ投稿、データの分析、ソーシャルメディア広告の管理、ワークフロー管理機能などを提供するソリューション。ライセンスは、1つのFacebookアカウント、2つのTwitterアカウント、1つのGoogle+アカウントを扱える「プロフィール」単位での提供となる。価格は非公開だが、同社のアクセス解析ソリューション「SiteCatalyst」を導入するような企業規模がメインターゲットとして想定される。

同日に行われたメディア向けの説明会で、同社マーケティングクラウド製品 日本市場担当 統括責任者のブレント・ワトソン氏は、「アドビ システムズはCreative CloudとMarketing Cloudという2つのメインコンポーネンツを持っている。デジタルマーケティング分野においても、よりリッチなデータ収集と分析をもとにしたビジネス意思決定という価値を提供し、業界スタンダードとなることを目指す」と述べた。

アドビ システムズはクリエイター向け製品企業としてリーディングポジションを得ているが、SiteCatalystなどを提供するOmnitureの買収後はデジタルマーケティング分野にも力を注いでいる。

Marketing Cloudは、SiteCatalystを始めとする複数の製品からなる。これらは、5つのソリューションに分けられており、このうちソーシャルメディアマーケティングソリューションがAdobe Socialとなる。

Marketing Cloudはアクセス解析をメインとした「Anlaytics」、コンテンツ配信を最適化する「Target」、ソーシャルメディアの管理・分析を行う「Social 」、広告展開の統合管理「Media Manager」、Webコンテンツ管理の「Experience Manager」の5つのソリューションを提供する

Adobe Socialがアクセス解析やデータ分析ソリューションに内包されるのではなく、ひとつのソリューションとなっている背景については、主に米国などで「ソーシャル担当部署が独立して存在すること」をブレント氏は挙げた。

日本で企業ソーシャルメディアを担当するのは、マーケティングや広報、カスタマーサポートなどが担っており、独立した部署を設けている例は多くない。しかしながら、トリプルメディアの中で、Earned Mediaの認知が広がってきており、今後は企業の取り組みも組織編成を含めて変わっていく可能性はあるだろう。

Adobe Socialについては、企業としてソーシャルメディアでの情報発信を始めたいが「実際に何をやったらいいのか、何を指標として成果を測ればいいのか」といった課題があり、その点からの関心も高いという。

Adobe Socialは、ソーシャルメディアマーケティングにおける、データの分析やコンテンツ投稿、ソーシャルメディア上のリスニング、ワークフロー機能などを提供する

同製品は、ファンやフォロワーを獲得し、エンゲージを高めコミュニテイの活性化を図り、レポートでの成果分析と、PDCAサイクルを回すことで企業のソーシャルメディアマーケティングを支援する。

KPIについても、これまでの「いいね!」数やリツイート数、フォロワー数などといったリーチをベースとした数字だけではなく、SiteCatalystなどど連携することでコンバージョンといった具体的成果として紐づけることが可能となっており、マーケティング最適化など企業活動の判断もしやすくなっている。

Adobe Socialのダッシュボード画面例

Adobe Socialは、FacebookやTwitter、Google+などに対応している。一方で、今回の国内提供においては、メニューの日本語化や、投稿解析などの日本語対応など機能部分でのローカライズ化は行われたものの、国内SNSへの対応は十分とはいえない部分もある。国内には、女性層に強いmixiや、Adobe Socialの国内提供発表と同日に利用者1億人を超えたLINEなどのサービスがある。

同社では、具体的な企業名やサービス名は挙げなかったものの、国内事業者との連携について話を進めているとしており、この点が国内展開のひとつのキーポイントとなるだろう。