ルネサス エレクトロニクスは1月17日、2012年12月10日に発表した「第三者割当により発行される株式の募集並びに主要株主、主要株主である筆頭株主、親会社及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」の中で公表していた「一層の人員構成の最適化等の更なる合理化の推進」の推進施策について、労働組合に申し入れおよび説明を行い、協議を開始したことを発表した。

同社は2012年7月に構造改革として、早期退職優遇制度の実施したほか、同12月に産業革新機構、トヨタ自動車、日産自動車、ケーヒン、デンソー、キヤノン、ニコン、パナソニック、安川電機を割当先とする第三者割当による総額1500億円の株式募集(第三者割当増資)を実施することを明らかにするなど、経営健全化に向けた各種の事業再編施策を行ってきた。

そうした中、今回、新たに費用構造の改善による収益基盤のさらなる強化、意志決定の迅速化、業務の適正化・効率化、成長戦略に沿った設計・開発、製造、販売体制の再構築を含む競争力の強化の実現に向けた合理化策として、早期退職優遇制度の再実施や組織のスリム化、効率化に伴う人員構成の最適化の実施を労働組合に対して申し入れを行ったという。

今回の早期退職優遇制度の対象となるのは、同社および国内連結子会社の40歳以上の総合職などの社員で、優遇措置としては2013年9月30日付の退職に際し、通常の退職金に特別加算金を加算して支給するほか、希望者には外部の就職支援会社による再就職支援を実施するというもの。同社では、募集人員の上限などは決めていないとしているが、3千数百名程度の応募を想定しているという。

また、前回の早期退職優遇制度の実施(2012年10月31日付)の後、直接人員に比べ、管理職を含む間接人員の構成比率が高まったことから、今後、費用構造の改善と成長戦略を確実に実行していくために、そうした間接業務や間接人員の効率化を図っていくとする。さらに、グループにおける子会社の位置づけの見直しとして、ルネサス エレクトロニクス販売を2013年10月1日付で本社と統合し、意思決定の迅速化や顧客への対応強化を進めて行くとするほか、開発体制の強化および効率化を目指し、100%子会社であるルネサスソリューションズ(RSO)、ルネサスマイクロシステム(RMS)、ルネサスデザイン(RDC)のルネサス向け製品の設計・開発・ソリューションにおける位置づけや役割の見直しを行い、RMSのソフトウェア開発およびツール開発部門のRSOへの集約、RMSおよびRDCのハードウェア(回路)設計部門を統合し、新設計会社へと移管することを決定したとする。

加えて、設計支援および品質保証の強化、効率化策として、100%子会社であるルネサス高崎エンジニアリングサービス(高崎ES)、ルネサス武蔵エンジニアリングサービス(武蔵ES)、ルネサス北伊丹エンジニアリングサービス(北ES)および玉川事業所における設計支援部門の設計支援や品質保証、IT関連などの業務の再編として2013年10月1日付で、武蔵ES、北ESを統合し、新設計支援会社を設立するほか、玉川事業所および高崎ESにおける設計支援部門を新設計支援会社に集約する計画としている。

このほか、製造会社の再編として、ルネサス東日本セミコンダクタ(東セミ)と、ルネサス北日本セミコンダクタ(北セミ)での工場閉鎖は事業譲渡が進められていることを受け、組織効率および人的効率の向上を図ることを目的に、2013年10月1日を予定日に両社の統合を決定したという。

なお、同社では、今回実施される早期退職優遇制度の申し入れ、ならびに各種の再編施策についての説明内容の実施に伴う、業績への影響については、1月17日時点では未定としている。